愛するとは【探鉱者】 (ページ31)

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｢キャ、キャンベルさん？！｣

鼻を指す鉄の匂いに顔を顰める。

キャンベルさんが、血を吐いている。

｢よ、横になってください！仰向けは避けて！！｣
｢座った方が楽ならベルトを緩めてから座ってください！｣

突然の事でパニックを起こしながらも、窒息や誤嚥を起こさないような体勢へとゆっくりキャンベルさんを動かす。

キャンベルさんが、血を、吐いた。

何か持病でもあるのだろうか。

…それとも、ストレスから？

｢ぅ、頭われる、きもちわる、……さい、あく……ッ｣
｢…っ、すみません、すみません……っ｣

口の端に血をつけたままゼェゼェと肩で呼吸をしていて、苦しそうだ。

頭痛も酷いのか、横になったまま頭を抑えるキャンベルさんを見ていると、泣きそうになる。

俺のせいだ、俺のせいだと自責の念がぐるぐると腹の奥底を掻きむしりどうにかなってしまいそうだった。

｢エミリー先生を呼んできます…っ｣
｢どうかそのままじっとしていて、動かないで……！｣
｢また吐きそうな時は顔を下にしてこの袋に吐いてください！｣

手短にあった適当なビニール袋をキャンベルさんに渡し、走ってエミリー先生の元へ向かう。

もし、大きな病気だったらどうしよう。

手遅れだったらどうしよう。

大量とは言わずとも、それなりの量の血を吐いていた。

もう、ほんとに、何をしているんだ、俺は、

こんなにも愛しい人をここまで追い詰めて、

情けない

情けなさすぎて、泣きそうだ。

｢……っは、はあっ…！え、エミリー先生！いらっしゃいますか！｣

2回ほど扉を叩くと、エミリー先生はすぐ出てきてくれた。

俺の様子を見て、冷静になるよう言い聞かせてくれるが、俺は全く冷静になれない。

俺は口元を絡ませながら何とかと言った感じでキャンベルさんの容態を伝え、対応して欲しいと必死に願った。