愛するとは【探鉱者】 (ページ26)

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ここで俺はふとエミリー先生に聞こうと思っていた事を思い出した。

紅茶を注ぎつつ、そういえば、と話を切り出す。

｢DomがSub spaceを拒む…と言ったホルモンバランスに関係するような病…だったり、事象って何かあったりしますか？｣
｢DomがSub spaceを……？いえ、聞いたことないわ。｣

ああ、ないのか。

では十中八九病気の類いではなく、キャンベルさん自身がそうしようと思って拒んでいるという事でまちがいないだろう。

俺はここ最近、荘園の図書館などでダイナミクスについての本を読み漁り、キャンベルさんがplayを途中で切り上げる理由について調べていた。

その時に昔読んだ学書まで見つかり、懐かしい気持ちに浸っていたのは記憶に新しい。

その本はダイナミクスと心理の繋がりについて書かれた論文のようなものだった。

俺はキャンベルさんがplayを中断する理由は何らかの病気だと考えていたのだが、その学書を読んだ瞬間、

｢病気によりplayを中断させざる負えない｣のではなく、

｢キャンベルさんの意思で切り上げている｣と言う可能性が浮上してきたことに激しい不安を感じていた。

拒まれている。

なぜ？

不安を拭いたくて必死に隅から隅まで調べあげるが、結局図書館にある本を全て読み終えても、DomがSub spaceを拒むと言ったような症状が見られる病は見つからなかった。

これでエミリー先生に聞いてみて、ないのであればそういう事だと覚悟していたのだ。

俺はキャンベルさんに、拒まれている。

｢…顔色が悪いわ。今日の所は休んだ方が良さそうね｣
｢……いえ、いえ…すみません。まだ聞きたいことはあるんです。｣
｢…私は大丈夫だけれど……｣

貴方は大丈夫なの？と言いたげな顔をされる。

｢大丈夫です、すみません｣
｢…DomにとってSub spaceを拒む、と言うのはどれくらい負担になる行為なのでしょうか｣

これもエミリー先生に聞きたかったことの1つだ。

そしてなぜキャンベルさんがSub spaceを拒むのか理由を見つける手掛かりになると踏んでいる。

｢…正直、かなり負担になる行為ね。｣
｢そのまま拒まれ続けていると…そうね、Sub性の薄い貴方は大丈夫な可能性の方が高いけれど、Domの方は…｣
｢…そう、ですよね｣

肩に重圧が乗りかかる。

この関係は、満たされないどころか、負担になっているのだ。