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がくん勝手に体が動く。
ゾクゾクと迫り上がる本能に理性は囚われるなと警鐘を鳴らすが、それも瞬く間に消え去り、キャンベルさんのコマンドに支配される。
「Good。」
「…これ食べるから、そのまま"
「僕が食べ終わるまで動かないで」
「……っ」
嘘だろ、と言う抗議の念はキャンベルさんの瞳に迎合され、甘美に蕩け出す。
艶めかしく朦朧とし、痺れるような陶酔を味わう。
キャンベルさんはフレンチトーストを1つ手に取り口へ運ぶ。
シャキ、とトーストに挟まれるレタスが音を立てながらキャンベルさんの中に飲み込まれていく。
俺はそれを黙って見詰めていた。
……早く、食べ終わって
…早く次のコマンドが欲しい
焦らさないで……っ
俺は心をかきむしられる激しい焦燥を感じていた。
逸る気持ちを抑えつけ、下唇を噛んでゆっくりと流れゆく時間に只管耐える。
「これ、おいしいね。Aさんが作ったの?」
「……っ、そう、です…………っ」
キャンベルさんの問いに喉から無理やり声を絞り出して答える。
「ふーん。」
「…これは、ご褒美をあげないとね。」
「……!!」
キャンベルさんは残りのフレンチトーストを半ば詰め込むように口の中に収め、咀嚼する。
全く不快な気持ちにならないその音を聴きながら俺は眩暈の如きものを覚え、胸の高鳴りを抑えられそうになかった。
全身から神経を抜き取られる感覚に慰撫され、蹂躙される。
___ご褒美。
ご、ほう、び……?
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白帽子(プロフ) - 田中さん» コメントありがとうございます。おかげで更新頑張れます…! (3月12日 6時) (レス) id: f1b6561477 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - とても好きです♡これからも更新待ってます♡ (3月12日 1時) (レス) id: d3ff0093eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白帽子 | 作成日時:2024年2月19日 21時