第十話 ページ15
鏡を潜り、また次の寮へと続く鏡を潜る。
すると鼻をかすめる砂塵。
水の一滴もない灼熱に身を焦がしながら辺りを見渡す。
ここは……砂漠だ。
雨が多く、湿度の高い日本では見られないものだ。
実際、俺も初めてこのようなところに立った。
…ふむ、この砂埃がかなり鬱陶しい。
ここで戦闘になれば更にこの塵は舞い散り視界は悪くなるだろう。
となれば、成る可く避けたい領土だ。
そんな事を考えつつ寮へ近づく。
壁をつたい、3階に辿り着いた辺りで中へと入った。
空中で身を捩り回転させながら着地する。
｢………は？｣
｢…人がいたのか｣
着地した体制のまま視線を横にずらせば褐色肌の髪の長い青年が呆然と立ち尽くしていた。
｢このようなところからの訪問にて失礼。｣
｢このような……って、えっと……どうやって入りましたか？｣
｢…壁をつたう以外なにが。｣
｢……か、壁を、つたう……｣
青年は信じられないと言った様子で口元を押さえた。
いや、でも、と押し吃る青年を無視ししながら腕に抱えた箱に視線を向けた。
｢…寮長を知らないか？｣
なにか言いたげな視線が俺を見下ろす。
その内ハッとしたように話し始めた。
｢その…俺ももカリム……寮長を探していたところなんです。｣
｢…えっと、貴方の歓迎会がしたい、と走ってどこかに行って行ってしまって……｣
｢…なるほど。｣
ならば俺も探すのに協力しよう、と口を開きかけた時だった。
｢あー！いたいた！ジャミルー！｣
｢……と、Aもいるじゃないか！｣
灼熱の砂漠に響く麗らかな声音。
｢カリム……！？｣
｢どこに行って……と言うか、名前……！失礼だろう！｣
｢寮生に話してきたんだ！！今夜はAを歓迎する宴だって！！｣
｢あのなぁ……！｣
…見たところ、彼が寮長だろうか。
まさに注意力散漫、能天気。
夜で歩けば少し目を離した隙に死んでしまいそうな子だ。
｢…藤の花の護符を配りに来た。｣
｢全員分ある。持っておくよう。｣
｢え？あ、ありがとうございます…｣
…寮長に渡すには心許ないので横にいる長髪の青年に預ける。
｢では急いでいるので｣
ここの寮長は些か話を1人歩きさせる癖がありそうだ。
俺は青年を無視してまた外へと飛び降りた。
＿＿＿
｢な……っ！？｣
｢えーーーーーっ！？！？｣
｢死……？！死、死んだ？！し、し……っ｣
｢お、落ち着けカリム！｣
｢……ち、着地していみたいだ｣
｢よ、良かったぁ〜｣
終わり
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白帽子(プロフ) - シャリファさん» 本当ですか…！嬉しいです。では更新していく方向で考えていきます。また、長らく更新お待たせしてしまい申し訳ないです… (3月12日 6時) (
レス) id: f1b6561477 (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - めちゃ需要あります！この小説面白くていつも楽しみにしてます (3月12日 3時) (レス) @page12 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白帽子 | 作成日時：2021年5月26日 13時
