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第七話 ページ12

空中を飛ぶように走る。

悪鬼を滅殺するため鍛えた足は、常人の何倍もの速さで走ることが出来た。

さて、真ん中の階段、最上階、突き当たりの窓から3番目

…あそこだろうか。

建物の中に回り込むのは少々面倒くさいな。

このまま露台から訪問しよう。

俺は目星をつけた部屋の露台へと駆け、コンコンと軽く窓を叩く。

透けて見える帳の向こうには赤髪の端正な顔立ちをした青年がいる。

青年はこちらを見るやいなや目を皿のようにして驚いていた。

その表情は幼く見えるが、彼が寮長とやらだろうか。

パタパタと窓に近寄り、カチャと控えめに音が立てられ開かれる。


「な、ど、どうやってここに」


困惑した様子で窓に手をかけ、猜疑心に満ちた目つきで見つめられる。

…まだ20にも満たない青年の部屋を露台から訪問するなど、今考えれば俺は相当な事をしている。


「…こんなところからの訪問になってしまってすまない。」
「貴方が寮長だろうか。」
「あ、は、はい。」


俺は彼が寮長であることを確認し、抱えていた箱を手渡し淡々と説明を施す。


「これは藤の花の守りだ。」
「…貴方を含めた寮生全員分ある。残りは敷地内のその辺に置いておけば鬼が近づきにくくなる。」


青年は疑念を含めた声色で、ありがとうございますと静かに箱を受け取った。

受け取ってくれさえすればなんでもいい。

俺は露台の手すりの上に飛び乗る。


「それでは、急いでいるので。」
「え、ま、待って」


説明を終えると俺はそのまま体を傾け地面へ落下する。

その際、乙女顔の寮長である彼が何やら声を上げていたが無視した。

地面と頭がぶつかる手前、体を捻り反転させ膝から着地する。

そしてそのまま次の寮へと向かった。


___

「ト、トレイ、ケイト。…君達は護衛を見たかい?」
「…?いや、見てないな。」
「オレも見てないかな〜。リドルくんはもう会った感じ?」
「……会った…けど」
「…けど?」
「…人間って、3階から落ちても無事でいられるのだろうか……?」
「……は?」
「……えっ」
「……あ、いや……なんでもない……」
「…それより、なんでもない日のパーティのことだけど_」

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白帽子(プロフ) - シャリファさん» 本当ですか…!嬉しいです。では更新していく方向で考えていきます。また、長らく更新お待たせしてしまい申し訳ないです… (3月12日 6時) (レス) id: f1b6561477 (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - めちゃ需要あります!この小説面白くていつも楽しみにしてます (3月12日 3時) (レス) @page12 id: d94d66ff3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白帽子 | 作成日時:2021年5月26日 13時

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