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第53話「長男と作戦」 ページ3
あの時から、センラの様子がおかしい。
普段はいつもの様に笑顔で何も変わらない風だが、長男であるうらたは気付いていた。
昔の事を思い出したまま、立ち直れていない。
｢ん？何ー？うらたん｣
｢いーや、センラ君さ、次いつ休み？｣
｢また急ですねぇ、明後日休みですよ｣
｢分かった、ちょっと出掛けよう｣
｢うらたん仕事ちゃうん？｣
｢午前中だけ｣
｢了解っす、ほな家で待っときますわ｣
実は一日中仕事だが、無理言って午前で帰らしてもらおう。
仕事も大事だが、やはり一番は家族である。
何となく、わしゃりとセンラの頭を撫でた。
｢何ですか｣なんていつも通り笑っているつもりなのだろうが、元気が無い様子は伺える。
そして、約束の日、うらたはきっちり午前で帰ってきて、センラと２人で街へ出た。
坂田もAも居ないからゆっくり出来る。
隣で歩くセンラをチラリと見た。
｢ん…？何すか？｣
｢いーや、行きたい所は？それともお腹空いた？｣
｢そうですね、先何か食べたいっす｣
｢分かった、じゃあ、パスタなんてどう？｣
｢うらたん相変わらずオシャンティっすねー、坂田なら絶対肉ですわ｣
｢俺は大人だからね｣
｢大人というか、女子力高めちゃいます？｣
やっとセンラの笑顔が見えてきた。
よしよし、と内心満足しながら次の作戦へ。
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作者名：憐
| 作成日時：2016年3月25日 13時
