ぶりっ子はぶりっ子を潰したいと思います【歌/い/手】

◯ ページ45

「っ…？…相川、くん…」

相川が突然、謝ってくる。

「…被害者は君たちだったのに、僕、勝手に勘違いして…傷つけて…」

そうぽつりぽつりと呟く相川は泣きそうだった。

「僕も昔、いじめられたことがあって…。その時に凄く傷つけられて…。だから、カッターで傷ついてる心愛ちゃんみて、勘違いしちゃった…」

『…』

「謝っても許してもらえないかもしれないけど…それでも、ごめん。勘違いしてごめん。傷つけてごめん」

ガバッと頭を下げて謝る相川。

教室に静寂が訪れる。

「…私は、許すよ」

「…モブちゃん…」

やっぱりモブちゃん天使だわ←

「Aは、どうするん…？」

坂田が私に恐る恐る話しかけてくる。

『…私は正直許せない』

「っ…」

「A…」

『たとえ心愛に騙されていたとしても、私たちは…いや、モブちゃんは傷ついた。もっと、自分の行動に責任を持って欲しい。たとえ謝ったからと言って、モブちゃんを傷つけた相川の行動がなかったことにはならない』

「…ごめん、なさい…」

『相川、私は謝って欲しいわけじゃないんだ』

「っ…」

相川は目に涙をたっぷり浮かべ、俯いてしまった。

『…でも』

にやりと笑う。

『謝罪の誠意は感じた。相川が本当に後悔してることも伝わってきた』

どっかの誰かさんと違って、ちゃんと謝罪の言葉も言ってくれたしね、と心愛に嗤いかける。

…心愛の舌打ちなんて聞こえない聞こえない(((

『それに、傷ついたモブちゃんが許して、私が許さないなんておかしな話でしょ？』

…なんか昔似たような言葉を坂田にも言った気がする…気のせいかな？←

「Aちゃん…ありがとう…っ…！」

涙目はダメだって、なにこの子実は天使？←

とりあえず、相川のことはどうにかなったから…と、彼方に目を向ける。

『…彼方、これ、訴えることってできる？』

「…わからない。だけど、この音源だけじゃ、なにが起きたか把握できないから、これだけでは訴えることはできないと思う」

『そうか〜、録画もしておくべきだったなぁw』

じわじわと心愛に恐怖を与える。

その時、ガタッと教室の扉が開く。

あれは…国語の先生の蒼先生だ。

「彼方君、ここのクラスに入りたいと言っている男の人がいるんだけど…」

「…そんな訪問者は聞いていませんが」

「やっぱり不審者ね…」

そう言って戻ろうとする蒼先生の手をつかむ。

『待ってください』

「？」

『私の友人です。通してあげて下さい』

…きっと心愛の父親だ。

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