ぶりっ子はぶりっ子を潰したいと思います【歌/い/手】

心愛側につく理由 ページ12

こんこん、とドアがノックされる。

正直、一ノ瀬 彼方が来た後だから、あまり機嫌は良くない。

まぁ、いいか。

来た人に八つ当たりするのは良くないもんね。

『はい、どーぞー』

すると、入ってきたのはモブちゃんと坂田だった。

それに何故か、2人の顔色が悪い気がする。

『あれ？2人ともどうしたの？顔色悪いよ？』

あくまで能天気な私を演じる。

そうすることで、2人の緊張がほぐれるかもしれないし。

「Aちゃん、実は…」

「待ってや、モブちゃん。俺が言う」

なになに？

ピリッとした緊張感が走る。

「ごめんA！！！！！」

突然頭を下げる坂田。

『…………なにが？』

なにがなんだかさっぱりわからない。

私の頭の中では、はてなマークが増殖している。

「実は_____」

そう言って坂田が気まずそうに取り出したのは_____

『…なにこれ、何かの破片？』

機械の破片のようなものだった。

「…ボイスレコーダー」

『えっ？』

「ボイスレコーダー、壊された…」

『…』

なるほど。

まさか心愛がこんな早くに仕掛けてくるとは。

でもどうして坂田は心愛にこのボイスレコーダーをきかせたのだろう。

『…どうして坂田は心愛に音源を聴かせたの？』

「いや、それが_____」

「センラ君、なんだって。壊したの」

『…はぁ？』

「アイツ、音源聴かせたのに、このボイスレコーダー壊しやがった。なんでやねん…ほんま」

音源を聴いたのに、こちらに来なかった。

それはつまり、センラは向こう側だってことだ。

しかも、心愛が悪いと知っていて。

では何故、心愛が悪いと知っていながら、向こうに着くのか。

導き出される考えは二つ。

一つ目は、心愛側につくことでなんらかの利益がある。

つまり、金をもらえるとか、そんな感じだね。

心愛の親は金持ちだし、その可能性は十分ある。

二つ目は、_____脅されている。

なんのネタで脅されてるかわからないけど、それだけの大きなネタがセンラにあるのだろう。

『…とにかく、心愛とセンラは黒。要注意だね』

「A…ごめん…俺、大事な証拠…」

『…あぁ、そんなこと』

「…そ、そんなことって…」

モブちゃんがおろおろと戸惑っている。

それもそうだろう。ついこの前、証拠の大切さを語ったのだから。

「なんでなん…？だってA、前にゆうてたやん。証拠は大事だからって_____」

『あぁ、あれは坂田に喝を入れるための演技だよ』

「「演技ぃ！？」」

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