怪我 ページ10
「だっ、大丈夫!?!?」
そんな女子の声が聞こえてきたのは、俺が教師になって2週間ほど経ち、仕事にも慣れてきた頃だった。
不穏な空気に、俺は直ちに声の聞こえた方に走る。
『大丈夫か!?どうしたん!?』
生徒たちが囲む真ん中には、右足首を押さえ、苦痛に顔が歪んでいる小野寺。
気のせいか、目にはうっすりと涙が浮かんでいる。
とうとう、やった。
俺が体育科の教師になって最も恐れていたことが、生徒の大怪我だった。
痛々しい姿の小野寺に、俺まで苦痛を感じてくる。
話すことができない小野寺に代わって、クラスメートの女子が状況を教えてくれる。
「ハードル走をしているときに、あそこから猫が飛び出してきたんです!それでAちゃんが踏みそうになって急いでスピードを落としたら、ハードルにあたっちゃって…!!そのまま無理やりスピードを落とす感じで止まったときに、足がもつれて…!!」
なるほど…。
見た様子と、状況を聞くあたり、捻挫か骨折だろう。
捻挫ならともかく、骨折なら急いで病院へ行ってギプスをつけて固定してもらわないと、悪化する恐れがある。
『…立てるか?』
俺はそっと小野寺に声をかける。
小野寺はふるふると首を振った。
んー…どうするか。
こういう時は、保健委員かなんかが保健室に連れて行くんだったっけ?
「あの、俺行きましょうか?」
保健委員の男子生徒が声を上げてくれる。
ただ、骨折をしているのかもしれない彼女を生徒が連れて行くというのも少し不安が残る。
『いや、俺が連れてくわ。骨折やったら、エスコートミスって転んだ時点で手術とかになりかねんからな』
そうして俺は小野寺の脇に手を通して、もう片方の手を太ももに通す。
『悪いけど、これ、セクハラ扱いすんなよ?』
俺は周りの生徒にそう保険をかけた後に、小野寺の体を持ち上げた。
その瞬間、女子から悲鳴が上がる。
小野寺の顔を見ると、耳まで真っ赤だ。
…?
とにかく、急いで手当してもらわなあかんな!!
そうして俺は小野寺を抱き抱えて保健室に向かった。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2023年4月7日 9時) (レス) @page19 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - SAINOMEさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです〜!!更新止めちゃっててごめんなさい(・・;)落ち着いたら更新していこうと思います!ありがとうございます! (2022年2月16日 21時) (レス) id: cbf841ccdd (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - さっくさん» コメントありがとうございます!わぁ〜!そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年2月16日 21時) (レス) id: cbf841ccdd (このIDを非表示/違反報告)
SAINOME - …っ!!夢主ちゃんも、うしさせの四人も可愛いです!!これからも更新頑張って下さぁい(><) (2021年7月23日 0時) (レス) id: 3d6226d58a (このIDを非表示/違反報告)
さっく(プロフ) - 超好きです……!!!!!!!!驚くほど好みどストライクで震えてます。 (2021年7月19日 18時) (レス) id: 987cd85010 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2021年4月24日 22時