抜け駆け ページ16
Aside
「きりーっ、きをつけーっ、れい」
「「「さよーならーっ!」」」
学級委員が挨拶をし、各自クラスを出る。
私も家に帰ろうと、リュックを背負うと、トントンと、肩を叩かれる。
思わず振り返ると、あまり関わったことのない夏菜さんだった。
『…どうしました?』
「ごめんっ!少し来てくれる?」
そう言って顔の前で両手を合わせ、頭を下げてくる夏菜さん。
『はぁ、まぁ、いいですけど…』
◯
◯
◯
そうして連れて来られたのは人気の少ない裏階段。
夏菜さんは屋上に行こうとしていたが、鍵が閉まっていたのか、階段の途中で話すことになった。
『それで、何か用ですか?』
「うん、実はね…」
夏菜さんは深刻そうな顔つきになり、私に顔を近づける。
なんだ?
ほとんど話したことない他人のようなわたしが解決できることなのだろうか。
そう、少しでも力になろうと考えたこと自体が馬鹿馬鹿しかった。
「あんたが坂田先生に近づきすぎって話よ」
そうして思いっきり突き飛ばされる。
階段で話していたこともあり、その反動で、わたしの体は宙に浮く。
『っ!?』
わたしは咄嗟に体を捻り、頭を打たないように手から着地をする。
『…ぐっ"!?』
左手に激痛が走る。
流石に10段以上上からの大ジャンプした体を手で支えることなんてできなかったか。
ただ、頭を怪我しなかっただけでも良かった。
わたしは階段の上に立つ夏菜をギロリと睨む。
「はっ、いい気味。痛い?」
カツン、カツンと一段一段降りてくる夏菜はそう笑う。
こいつ…。
『…何が言いたいの』
「はぁ?そこまで言わなきゃわからない?」
首元を掴まれ、ぐっと引かれる。
「坂田先生はみんなのものなんだから、アンタみたいに抜け駆けされると困るのよ」
…何が抜け駆けだ。
別にお前にわたしと坂田せんせーの関係を決められる義務はない。
『…あぁ、そう』
「…ふん、わかればいいのよ」
次はないと思いなさい?
そうして夏菜は、まるで悪役のように去っていった。
…実際悪役だが。
『…はぁ』
まさかそこまで坂田せんせーを堕とすのが大変だったとは。
それにしても、王道すぎる展開にため息が漏れる。
左手首を右手でそっと包む。
保健室行くかぁ。
また、折原先生とお話しでもしよう。
それにしても、“抜け駆けされると困る”ねぇ。
_______ビビってアタック出来ないお前らにそんなこと言われる筋合いはねーよ、ばーか。
そう、心の中でくすくすと笑った。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2023年4月7日 9時) (レス) @page19 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - SAINOMEさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです〜!!更新止めちゃっててごめんなさい(・・;)落ち着いたら更新していこうと思います!ありがとうございます! (2022年2月16日 21時) (レス) id: cbf841ccdd (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - さっくさん» コメントありがとうございます!わぁ〜!そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年2月16日 21時) (レス) id: cbf841ccdd (このIDを非表示/違反報告)
SAINOME - …っ!!夢主ちゃんも、うしさせの四人も可愛いです!!これからも更新頑張って下さぁい(><) (2021年7月23日 0時) (レス) id: 3d6226d58a (このIDを非表示/違反報告)
さっく(プロフ) - 超好きです……!!!!!!!!驚くほど好みどストライクで震えてます。 (2021年7月19日 18時) (レス) id: 987cd85010 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2021年4月24日 22時