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そんな次の日。
いつも通り学校へ行き、授業を受けていた時のこと。
｢A、なんかいいことあった?｣
｢へ、?｣
隣の席に座る幼馴染みが、私にそう聞いた。
なにかと勘のいい彼なだけに、昨日、あれだけ私は先輩と何もしてないと自分に言い聞かせたはずなのに、こんなにも心臓がドキドキと焦りの音をあげている。
隠すの、下手くそになったなぁ、私。
きっと不意をつかれたからだと、心の中でまた言い訳をして、私は笑顔で首を振った。
｢全然、なんにも。｣
｢えー、それは嘘やろ。
なに、センラにでも口説かれたん?｣
｢…そ、そんなんじゃないよ。｣
躊躇いもなく、言葉を放った彼に背筋が凍る感覚を覚える。
怖いほどの勘をもつ私の幼馴染み、
坂田は、私が先輩とLINEしてることは知っていた。
元々、坂田の紹介で私たちは知り合い、LINEを交換したのだ。
…動揺してしまったけれど、別に口説かれたって程じゃないし。
たぶん。
｢だってA、今日もスマホ見ながらいつもにやにやしてたし。｣
｢してな……え!?｣
｢なに、無意識なん?
あれやめた方がええで、完全に危ない人やもん。｣
黒板の文字をノートに写しながら、淡々と言葉を並べる坂田。
さーっと顔から血の気が引いていく。
な
…なにそれなにそれ、ほんとに危ない人じゃん。
｢き、気づいてたならなんで教えてくれないの!｣
｢えー、そんなん面白いから。やけど?｣
ノートを書く手を止めて、首をこちらに向ける坂田。
悪戯に笑うその姿を見て、何も言えなくなってしまう。
そのまま埋め込まれたようなルビーの瞳がぱちぱちと私を捉えたまま瞬きを繰り返した。
｢…マスクして暮らそうかな。｣
｢あ、それ普通におすすめ。｣
｢ねえ否定してよ。｣
｢自分で言ったんやろ。｣
けらけらと笑う坂田。
上手く誤魔化せた気がしてほっと胸をなで下ろした。
なんだか、彼だけには隠し通さなければいけない気がして。
彼女持ちの先輩とご飯に行く私は、ほんの少しでも彼にドキドキしてしまった幼馴染みは、幻滅されるのだろうか。
そんな不安が頭の中でぐるぐると回っている。
お願い、坂田。
どうか気づかないで。
気づいても、知らないふりをして。
私に、核心づいたこと聞かないで。
続く (更新停止中)
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作者名：雲野 | 作成日時：2018年10月29日 0時
