君が悪いんだからね。【センラ】 (ページ2)

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長い時間、電車に揺られ、駅から少し歩いて家に到着。

ベッドに飛び込み、ぐ～っと伸びをした。
家に帰り、シャワーを浴びてあとは寝るだけとなった今、

急に緊張から解放された気がして、今日の疲れが一気に私を襲った。

ぐるんと寝返りを打った私はスマホを手に取り、通知マークがついたメッセージアプリを開く。
すると、1番上に "センラ先輩" の文字。

『今日はありがとう。』

余韻が抜けきらない私は、その短い文章にも頬が緩むのを感じていた。
どう足掻いても、罪悪感より幸福感。

楽しかったという感情が勝ってしまうのだ。
仕方ない、不可抗力だと思う。

｢こちらこそありがとうございました…っと。｣

本当に楽しかったです、と文を添えて送信ボタンを押す。
すると直ぐに既読がついて、ドキりと心臓が少し早くなった。

『次は遊びに行こうね。』

送られてきたメッセージに、ちくっと胸が傷む。
私としてはもちろん行きたい。

行きたい、けれど

彼女さんからしてみれば、それは浮気の類に入るのではないか。

スマホに表示される文字をみて、頭を抱えた。

いくら、頭では彼女さんとのことを想い、駄目だと解っていても、結局それは伝えられないまま。
…ほんとは、LINEしてる事だって申し訳なくて。

…でも、やめられなくて。

LINEくらい、いいよね。
なんて甘えた思考が顔をのぞかせる。

どう足掻いても、断るなんて出来なくて。
否、先輩からの誘いを断ることができない、と言い訳をして、

"楽しみです!"

と、送ってしまうのだ。

別に今日、私たちは2人でご飯を食べに行っただけだ。
やましいことなんて、何一つしていない。

手だって、繋いだわけじゃない。
一瞬、人混みで手首を引かれただけ。

全部ぜんぶ、先輩の気遣い。

そもそも先輩は、私のことを一人の後輩としか思っていないんだ。
それ以上でも、以下でもない。

何度も何度も自分に言い聞かせた。

言い訳ばかり、自分が嫌になる。