１２~Sside~ ページ12
.
Aちゃんと別れてすぐ家に入る。
きちんと鍵がしまったことを確認して、ふらふらとベッドまで歩いて行き、バタリとベッドに倒れ込む。
俺が倒れたことによって軋むベッド。
まだちょっと酒が抜けてないんか、ふわふわした気分であーっと小さく声を出す。
Aちゃん、かわいかったわ
目をつぶって思い出すんはさっきまで一緒におった常田Aちゃんのこと。
おかしいなぁ、俺数時間前まで全然別の子のことで頭いっぱいやったのに……。
今はさっきまで一緒におったAちゃんのことで頭いっぱい。
元々Aちゃんとはただの店員と客の関係やった。
半年くらい前に俺が東京に引っ越してきて家の近くにあるコンビニによう行ってたら、店員のAちゃんから話しかけてくれた。
2、3日に1回は行ってたからそりゃ顔覚えられるか、なんて思いながらAちゃんと話してた記憶がある。
でもやっぱりほとんどなんも知らん相手にそんなすぐ心開けへんくて、最初は態度悪かったやろうなぁ。
今は結構何でも言い合う仲やけどね！
あん時から俺がコンビニ行ってAちゃんおったら、結構話してたけどまさかあの大人気作家蒼蓮やとは思わんかったし、今日初めてAちゃんと飲んでAちゃんが酔っ払ったら、方言出たりするんも初めて知った。
でも、何よりもびっくりやったんは帰り際Aちゃんから手を繋いできたこと。
普段のAちゃんはどっちかというと冷めてて、あんま恋愛とかにも興味なさそうで、人に甘えたりするところを想像しにくい人。
やからこそびっくりした。
帰り道歩いてるときにAちゃんは酔うと人肌が恋しくなるって言ってたから、納得できたけど、でもやっぱびっくりするよな〜。
ふと、手を繋いできたときのAちゃんを思い出す。
「寒いし手繋いであったまろよ？
帰るとこはほぼ一緒やし、別れるまで手繋いでよ？あかん？」
俺を酔ってトロンとした目で、外の寒さで赤くなった頬で、上目遣いしてきた彼女を思い出してまた顔が熱く、鼓動が早くなる。
「あー、あかん。これはほんまにあかん。」
つい数時間前にフラれたばっかやのに、今日やっと色々知り始めたばっかの子やのに……
「もう落ちそうやん……」
俺の小さい呟きは部屋の中に静かに消えていった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：moe | 作成日時：2017年12月26日 3時
