待ち焦がれた前日譚−�� ページ41
――病院内で。
(あー…入院生活暇過ぎる)
入院中だらけまくりの僕は、退院はさっさとしたく思い大人しくする事にしてた。そんな僕だが、病院食は億劫だった。あれは栄養は良いが薄味だ。食事としては楽しめる気はしなかった。
そして目の前に出されていざ食べようとした時、口に入れる事すら嫌になった。
(…嘘だろ？)
どんなにお腹が空いても、どんなにお腹が鳴っても、どんなに目の前のおかずが魅力的に見えても、口の前まで運ばれると途端に食べようという気概を失う。
――まさか。
「遥斗兄ちゃん、前に実家に帰った時に毒、盛られたでしょ？」
「…君は、人の思い出したくない過去を掘り返すのが好きだね」
「ごめん。でもそのせいでご飯、食べられなくなっちゃったんでしょ？」
彼らの言う通りだ。
固形物を食べようとすると、どうしても死にかけた時の事を思い出す。痛みや苦しみが続き、そして夢想の旅へと連れられた。
僕は当たり前に食べてたご飯で死にかけて、それでまた普通にご飯が食べられるほど、肝は据わってない。
「…成程ね。コナンくんから安室さんに話したの？食欲不振の事」
「僕は事件の事を話しただけだよ。そしたら安室さんが"ご飯は食べられてるか"って…」
「おかんか安室さんは」
思わずツッコミを入れると、安室さんは非常に不本意そうなカオをした。僕がしたいよそのカオ…
「君の事だ。栄養ゼリー飲料で済ませてたんだろう」
「うっ…」
「それで昨日のように走り込みは続けるんだろう？倒れるぞ」
「大丈夫です、倒れない程度の具合は自分でも分かりますから」
「…そうか――」
やれやれ、と安室さんは肩をすくめた。
「――前に賭け、したね？」
「賭け…まさか、安室さんが卑怯勝ちしたやつですか！」
「戦略的勝利と呼んでもらおうか」
いやあの不意打ちは卑怯だと思う。
「その時の景品覚えているよね。命令権だ」
「安室さんが保留にしたやつのですか」
「そう。――遥斗さん、君が今まで通りご飯を食べられるまでは、昼食は僕のを食べるように」
「はい？」
思わず"何言ってんだこの人？"みたいな目つきで安室さんを見た。彼はイタズラが成功したかのように不敵に笑んだ。
「毎日とは言わないが、ポアロに来るといいよ。お金もいらないよ」
何その魅力的過ぎる提案。え、ここで頷いたらポアロ来る度にさっきのゼリーみたいなのが食べられるって事でしょ？
――ああ、でも。
「すみません、命令チェンジお願いします」
「え」
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想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» コメントありがとうございます。本編と異なる可能性もありますが、次回は大体あんな感じでお送りします。 (2022年8月6日 6時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - 次回予告✨ (2022年8月5日 17時) (レス) id: 87f77450ee (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - わさびもち！さん» コメントありがとうございます。気に入っていただいて何よりです。 (2022年8月4日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
わさびもち！(プロフ) - 好きです…好きです…最高に好きです…すき… (2022年8月4日 2時) (レス) @page50 id: bc0339f7a6 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ???さん» コメントありがとうございます。応援していただきとても嬉しいです。 (2022年7月25日 19時) (レス) @page40 id: 242a51c45c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年7月6日 15時
