交錯する世界線−�� ページ35
「それで本当にこれ何さ」
手元の僕に似た栗毛色の髪した、布製のちっこい人形を見る。…会った事が無いハズなのに、何でこんな似てんだこれ？
「オレも知らねぇよ。"彼に近付きたくないから代わりに渡してくれる？"ってさ」
「え、何、会った事も無いのに僕彼女に嫌われてるの？」
「初手で紅ちゃん呼びするようなヤツだからじゃね？」
なんだよー、馴れ馴れしいのが僕なのに。
「人形の服ん中見てみろよ」
「服？…何これ、手紙？」
「アンタ以外に読むなってよ。…ま、オレは興味ねぇし、用事は済んだからこれで…」
「まあまああんちゃん、ちょっと付き合えよ」
「ちょ、離れろよ！」
「こ、こんな公共の場でこんなに密着するなんて…お里が知れますわよ！」
「密着しに来てんのはアンタの方なんだよ！！」
僕から遠ざかる快斗くんだが、逃すとでも思ってんの？
懐から飴を用意しては彼の手首を無理矢理掴む。
「オラァ食らえっ！介護施設の山本のばーちゃん直伝のお礼"飴ちゃんいるかい？"」
「いらねぇよ！」
「ばーちゃんからのご厚意を無下にすんの！？」
「アンタのその暑苦しい熱意を無下にしたいんだよ！！…は？何で飴？」
「ん？他のお菓子の方が好きだった？」
「いや、別に良いけど…何でお礼を言うような事すんだよ」
彼は困惑しながらも、僕によって握らされた数々の色とりどりの飴を見つめた。
「言ったろ、"見たいモンは見れた"って。君のお陰さ。僕はキッドを一度この目で見てみたかったんだ」
「お前――」
「それにお大事に、なんて言葉もくれただろ。尊敬してくれてるみたいだしさ。…嬉しかったんだぜ？」
「…あんな生活をしていてなおかつ周りに隠し通してまで笑わせてりゃ、そりゃ言葉の一つはかけたくなるぜ」
快斗くんの目が真っ直ぐと僕の方を見る。居心地が悪くて、僕は帽子を深く被って逸らした。
「参ったな…どうやって僕の生活を把握したんだか」
「軽い盗聴。安心しろよ、すぐ回収した」
コイツさりげなく言ってるけど、コナンくんとまとめて訴えていいかなぁ！？
「…取り敢えず、受け取ってほしいんだ。ほんの少しのお気持ちだけだけど、君に感謝してるのに変わりは無いよ」
「…いや、いい。これはアンタが食っててくれ」
少し迷う仕草を見せた彼だが、結局僕の右手へと乗せた。
「…お気に召さなかった？」
「いや、知らない人から物を貰うなって習ってるもんで」
「君不真面目生徒のクセにどの口が言うんだよ」
てか僕の事知っとるやろがい！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» コメントありがとうございます。本編と異なる可能性もありますが、次回は大体あんな感じでお送りします。 (2022年8月6日 6時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - 次回予告✨ (2022年8月5日 17時) (レス) id: 87f77450ee (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - わさびもち！さん» コメントありがとうございます。気に入っていただいて何よりです。 (2022年8月4日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
わさびもち！(プロフ) - 好きです…好きです…最高に好きです…すき… (2022年8月4日 2時) (レス) @page50 id: bc0339f7a6 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ???さん» コメントありがとうございます。応援していただきとても嬉しいです。 (2022年7月25日 19時) (レス) @page40 id: 242a51c45c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：想世 | 作成日時：2022年7月6日 15時
