檻にかかった獲物−�� ページ3
「いらっしゃいませ」
伏せ気味な灰色の瞳と目が合う。マスクをしたその客の髪は茶髪で、ほとんどは帽子の中に隠れている。ハイネックの上にマウンテンパーカーを羽織り、随分とラフだが暑そうな格好だ。
度の入っていない黒縁の眼鏡をかけているが、伊達眼鏡だろう。店内に入ると彼はコーヒーを頼み、カウンター席に座った。
「お待たせしました。それと…その厚着ではバレるよ？」
「――流石に無理がありますか」
マスクと帽子を外し、コーヒーカップに手にかけたその男は、最近ポアロに来る事の無かった倉間遥斗その人だった。
「コナンくんから聞いたよ、大変だったみたいだね」
「大変でしたよほんと。お祓い考えてます」
「ついでに煩悩の鐘でも鳴らしに行ったらどうだい？」
「大丈夫です、巫女服の女の子がよく頭の中で鳴らしてくれるので」
「それこそ煩悩だよね？」
コーヒーに口をつけた彼だが、まだ熱かったのか"あちっ"と舌を出して咄嗟にコーヒーに息を吹きかけて冷ます。
「安室さんの方もお変わりないですか？ストーカーとかに遭ってません？」
「君に一番言われたくないな」
先日の顔バレの件で、彼はしばらく多忙の身となった。だからほとぼりが冷めるまではポアロに近寄らず、外出も控えていたようだ。
「何かあれば安室さん達がいますしね」
「随分と信頼してくれてるね」
「いやぁ、困った時はお偉い様だなぁって…」
「他力本願だよねそれ？」
「ははは、コナンくんにも同じ事言われました」
いつものふざけた調子で彼は笑う。だがその笑みにふとした違和感を覚える。言語化しづらい変化の為に指摘する事は敵わなかったが、帰省した際に何かあったのは確実だろう。
「そういえば、松田さんや萩原さんが君と会って話したいと言っていたよ」
「あのボンバー組が？えープリクラ一枚一緒に撮るならまぁ…」
良い年した男三人がプリクラか…と苦笑しながら、松田から託された伝言を思い出す。
「"人にメイドカフェの電話番号教えるな"って怒っていたよ、松田さんが」
「僕の電話番号だとは一言も言ってないですからセーフ！」
「アウトだからね？…で、こうも言われてるんだ」
「ほうほう何です？ぶっちゃけ何言われても伝言ですから、痛くも痒くも――…」
「"ポアロに来たら教えてくれ"って言われたんだ」
「へ？」
ニッコリと、安室の笑顔をこれでもかと張り付ける。すると面白い事に、彼は顔をサァーっと青くさせた。
カランコロン、と入り口のベルが鳴った。
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想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» コメントありがとうございます。本編と異なる可能性もありますが、次回は大体あんな感じでお送りします。 (2022年8月6日 6時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - 次回予告✨ (2022年8月5日 17時) (レス) id: 87f77450ee (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - わさびもち！さん» コメントありがとうございます。気に入っていただいて何よりです。 (2022年8月4日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
わさびもち！(プロフ) - 好きです…好きです…最高に好きです…すき… (2022年8月4日 2時) (レス) @page50 id: bc0339f7a6 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ???さん» コメントありがとうございます。応援していただきとても嬉しいです。 (2022年7月25日 19時) (レス) @page40 id: 242a51c45c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年7月6日 15時
