心配が先か呆気が先か−�� ページ45
あとは目を覚ますのを待つだけとなったが、どうやら入院は必須らしい。彼の病室には入れたので、全員で入る。
だが。
「っ…なに、これ」
病衣に着替えさせられた遥斗さんの身体は傷痕だらけだった。…薄々察していたが、彼がいつもハイネックを着ていた理由は…
「ひ、ひどい傷ですね…」
「だ、誰にやられたんだ！？」
打撲痕、切り傷…確実に最近の物では無い傷痕は痛々しく、顔が傷付いてないのが不思議なくらい多かった。
灰原が彼に近付き、首にある傷痕に触れる。安室さんが言ってた切り傷は、まだほんの一部に過ぎなかったのだ。
灰原が触れた途端、遥斗さんは急に顔を歪めた。うなされてるようにも見える。灰原は手を引っ込めようとして、――ぱしっ、と手をはたかれた。
「ッ、――！…？」
半身を咄嗟に起こし、半分開かれた灰色の目が鋭く睨んだと思ったら、灰原を認識すると丸くなった。灰原の手をはたいた彼の手が力無く落ちる。
「く、倉間の兄ちゃんが起きた！」
「大丈夫ですか！？毒は！」
「歩美達心配したんだから！」
「…、………っ！…ｯ！？」
遥斗さんは困ったように笑んで、口を開いた。何か喋ったように口を動かすが、言葉を発さずに彼の表情が強張った。
「どうしたの？口をパクパクさせて…まさか、喋れなくなっちゃったの！？」
「いや、別に普通に話せるけど」
「じゃあ最初っから普通に話せよ！」
院内にも関わらずそう叫んでしまったオレは悪くない。
「マジ？赤兎馬が僕に毒盛ったの？」
「関口ね」
「いやーマジか…アイツ良い奴だと思ったんだけどな…関羽の弔い合戦の孔明の策っぽい名前の奴」
「それ石兵八陣ね」
「まぁでも捕まってくれたなら安心だね、五千円札の奴」
「それは樋口一葉ね。っていうか偉人にも失礼ね貴方！？」
目を覚まして、すぐにいつもの調子を取り戻した彼は殺されかけたってのに楽観的だった。その様子に安心した灰原達は、身体の傷も置いて話し込んでる。
「にしても悪いね、折角のバーベキューだったってのに…」
「そうね、貴方が死にかけるんだもの。肝を冷やしたわ」
灰原の発言にオレは目を丸くした。嘘だろ、あの灰原が…？やけに素直だな…？
オレと同意見だったのか、遥斗さんも驚いたように灰原を見てる。
「…何、悪い？」
「いや…僕、死んだ？」
「ほんッとうに失礼ね！？」
「い、いひゃい！――君こそ病人に容赦無いなぁ！？」
灰原に頰をつねられ涙目になった遥斗さんに、同情の苦笑が送られた。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
