仕方ない帰省−�� ページ32
「アンタァ！急に何さ、"ちょっと子どもいるから一晩部屋貸してくれ"って！」
「しょうがないだろ、予定外だったんだ。僕の部屋空いてるだろ？」
「もう物置だよ。人が来るって前もって言ってくれりゃ、片付けてたけど？」
「マジか…一晩だけ物は外置かせて。あと食堂はまだ営業中だろ？金払うから子ども達に夕飯食わしてよ」
僕と瓜二つだが、少し老けた女性――僕の母と若干口論になる。それをハラハラした様子で見守る同行者達は、僕を申し訳なさげに見てる。
「…ごめんごめん、嫌なとこ見せちゃったね。僕の奢りだから、好きに頼んじゃっていいよ」
「いいのか！？うな重あるか！？」
「うーん、うな重は無いかなぁ…」
「じゃあ歩美、オムライスが良い！」
「じゃあ僕はさんまの塩焼き定食をお願いします！」
各々が注文して、注文を受けた母は厨房へ行く。もう他の店員は帰ったらしい。確かに客も少ないしな。
「…僕にも奢っていただいて良かったんですか？」
「気にしないでくださいよ、沖矢さん。阿笠さんも」
「アンタ、払う金はあるんだろうね？」
「ツケ」
「ふざけんな」
「…冗談、それくらい払える」
我が母ながら口が悪い。こっちの僕はどうやら母とは仲が悪かったようだ。僕の方はそうでもなかったんだが…そのせいで母は僕に当たりが強く、それに釣られ僕も口調が悪くなってしまう。
「料理の腕は確かだからさ、ゆっくり食ってなよ。僕はちょっと部屋の片付けでもしてくるから」
「ありがとう、遥斗兄ちゃん！」
「悪いわね」
「いーよ、困った時はお偉い様でしょ？」
「それだとただの他力本願だよね？」
若干埃が溜まってたので、物を外に出した後掃除を軽くする。
「お手伝い、しましょうか？」
掃除を始めて10分後、沖矢さんが僕の部屋に来てはにっこり微笑んだ。
「…もう食べたんですか」
「ええ、とても美味しかったですよ。ご馳走様でした」
「そりゃ何より。そうですね、手伝ってくれるとありがたいです」
そっちお願いします、と指示を出しては手を動かす。
「お母様と仲、悪いんですね」
「…まー、色々あるんス」
その色々は、こちらの僕の記憶が僕に無いので知らないが。
床に散らばったファイルを拾う。…ん？これ、中身がこちらの僕の写真だ。
はねた黒髪、死んだ目、猫背。色を無視したら僕と全く同じだが、雰囲気はまるで別人。並行世界となると、どうやらここまで変わるらしい。
こっちの僕はまさしく――…友人に恵まれなかった僕だろう。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
