逃亡する真相−�� ページ23
「あのさ。分かってると思うんだけど」
「盗んだっていう疑いの件で昨日、呼び出されたんだろ？」
「うん」
倉間にとって阿鳥は親友だ。阿鳥は倉間同様に正義感が強い方ではなく、ただ薬という毒を得た倉間が何をしでかすか分からない為に倉間の事を話した。
倉間は阿鳥に全て話そうとした。
親友に全てを話せば、分かってくれる筈。いくら同類と言えど、失うと分かってる命をむざむざと見殺しにするとは倉間には到底思えなかった。
「――なぁ、宗一。お前さ――…ここが漫画の世界だって言ったら、信じる？」
「…な、に、言ってんだ、お前」
「信じられないかもしれないけど、聞いて欲しい。ここは"名探偵コナン"っていう漫画の世界で――…宗一？」
「やめろ…やめて、くれ、」
目に見えるほど、阿鳥の様子がおかしくなった。具体的には漫画の世界と伝えた辺りから。そしてあの爆弾犯の男と同じように、
突如として宗一は目を見開き、頭を抱え、呼吸を荒くしてバッタリと倒れた。
「は…」
辺りは騒然となる。倉間には何が起きたのか、分からなかった。
何故親友が爆弾犯と同じように突然意識を失った？前回と共通して僕はマズイ事をしたのか？
親友が救急車に運ばれるのを心配そうに見ながら考え込む。あの親友はもう目覚めた時に会う事は無いと、何故だか直感してしまった。
倉間は自分がキッカケだと判断する。ならば何がトリガーを引く事になった？何故？日が過ぎても考え、考え…
――やがて、この世界が漫画の世界だと教えると、ああなると悟った。
(…そうか。そういう事だったのか)
倉間の口から乾いた笑いがこぼれる。人知れず人助けをした筈が、二人の人生を奪った。
(神サマは僕に、孤独であれと)
倉間は一度目の偶然は偶然と捉えるが、二度目の偶然は奇跡か必然と考える。そして"こんな奇跡があってたまるか"との思考により、必然と考えた。
倉間には、絶対にこの世界の人間にはこの世界の正体を教えるな、という脅迫が見えた気がした。
(成程、やっぱり僕のせいか。罪を被って泥を被ってまで覚悟をして、救済しようだなんておこがましい事を考えたから？)
殺すつもりは無かった――なんてものは、言い訳に過ぎない。被害者二人は7年後も深い眠りに落ちたままなのだから。
倉間のその後の大学生活は語るまでもあるまい。
倉間の予想通り、この世界の人間に世界の正体を教えてはならない。知った者はもれなく現実を拒否し――誰かの意図で昏睡状態に陥る事になる。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
