逃亡する真相−�� ページ22
「な…っ！？」
爆弾魔の男は意識を失った。倉間が警戒し声をかけようと痛みを与えようと起きない。
(一体、何が…)
――倉間はまるで、得体の知れない何かが男の意識を刈り取ったように感じた。
弁明すると、本当に倉間は何もしていない。手にあるスタンガンが仮に触れたとしても、意識まで奪わない。薬も飲ませていない。
倉間は途端に恐ろしくなった。
(誰かの仕業？いや、ここに僕とこいつ以外いない。こいつが何かの病気持ち？そんな描写あったか？)
――倉間は未来を知ってるからこそ周到に備え、爆弾犯を再起不能にしようとした。だが不都合な未知や不可解が介入すれば、話は別だ。
原作で死ぬ人間を救う事によるバタフライエフェクト。倉間はそれを視野に入れないほど馬鹿でも楽観的でも無い。ならばより多くの、それこそ一巻しか出番の無い人間だろうと助けようとした。
だが今、倉間の目の前で起こった現象は何だ？
いくらバタフライエフェクトと言えど、唐突に人は意識を失うものか？
分からない。原因が何も見当たらない。
(僕のせいだ、きっと。原因は？症状は？何故、何故…分からないけれど)
(ああ今はだめだ、)
倉間は混乱し、その場をそれ以上荒らさずに逃げた。
薬を元の場所に戻す事すら忘れて。
彼は備えだけは良かったが、後始末がずさんだった。
盗難の疑いで警察沙汰になり、倉間は阿鳥の発言で第一候補となる。
(家に薬置いてなくて良かった…！)
薬は慌てて処分した。だが状況的に倉間しか犯人はおらず、しかし決定的な証拠も無かった為に取り調べではなんとかかわし、何故か逮捕は免れた。
だが翌日、大学関係者からの尋問が待っていた。
「僕じゃないですって！！」
一対多。孤独は倉間に焦りをもたらした。
「だが聞いたよ、阿鳥くんから。君が化学実験室に一人で入っていた所を」
「ッ…」
「倉間くん、君は科警研の父親がいたね？」
「それは関係無いでしょう…！」
「倉間くん。その父親から、"遥斗は過去に統合失調症かもしれないと診断された事がある"と言われた事がある」
「…ちが、う。それは…」
「それは？」
「…とにかく、僕は盗んでませんって！」
倉間は結果的には無実とされた。だが一番の容疑者である事には変わりなく、大学内で最悪な気分を味わった。
「…よっす」
「よ、よう遥斗…」
倉間は阿鳥を恨んでいない。むしろ真っ当な行動と言える。だから、ただ純粋に話がしたいだけだった。だから食堂で話そうとした。
全てを。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
