最高と最悪の大学生活−�� ページ12
「僕じゃないですって！！」
大学の物だが、机を強く叩く。周りには僕を信用しない大人が数人。理事長に僕の所属している学部の教授、薬学部の教授達。
「だが聞いたよ、阿鳥くんから。君が化学実験室に一人で入っていた所を」
目を見開いた。宗一が？何故？
「盗まれたのは大量のミロガバリンベシル酸塩…タリージェという名前の方が知られているだろうね。奥にしまわれていた筈だ。倉間くん、君は鑑識官の父親がいたね？」
青木一雄。ついこの間知った、この世界の僕の義理の父親。僕の母親と結婚した、僕にとっては赤の他人。薬の知識は父が仕入れたとでも思ったのだろう。
「ッ…それは関係無いでしょう…！」
怒りが湧き上がってくる。周りの人々の目は冷たい。だが僕がやったという決定的な証拠も無く、逮捕までは出来ない。警察も呼ばれ、つい先ほどまで事情聴取を受けていた。だが証拠不十分な為に、僕は帰された。家宅捜査までされて盗品は見つからなかったのだから、僕が自白しない限り逮捕まで至れない。
…でも。
「それでも僕はやってません！」
埒が明かないいたちごっこは続く。日が暮れるまで続き、大学内で噂が広まるには十分だった。あわや両親が呼び出される所だったが、結局僕が一番の被疑者というだけで、僕がやったと言う決定的な証拠は無い。
「…よっす」
「よ、よう遥斗…」
寝癖の酷い頭も直さず、大学の授業を受けた。その帰り、同じく授業終わりの宗一とバッタリ会う。
「…なぁ、遥斗。少し話がある」
「奇遇だな宗一、僕もだ。…食堂行こう」
噂が広まってるからか、大学のどこ行っても僕に向けられる瞳は恐怖、好奇心、嫌悪ばかり。…東都に来てから何で視線に気付けるようになったんだろ。神様特典ってやつ？ありがた迷惑だね。
「宗一、飲み物は？」
「いらない。お前は？」
「僕もいらない。…あのさ。分かってると思うんだけど」
「盗んだっていう疑いの件で昨日、呼び出されたんだろ？」
「うん。宗一が、化学実験室に入っていく僕を見たと聞いたよ」
「薬品置き場は化学実験室を通って行ける。前にお前が授業終わり、俺の所まで来た時に見た筈だ」
日のよく当たる、窓辺の席へ腰掛ける。神妙な顔をする宗一は、いつも僕とふざける時の彼とは全く違った表情で。
「――なぁ、宗一。お前さ――…」
突如として、宗一は目を見開き、頭を抱え、呼吸を荒くしてバッタリと倒れた。
それから宗一は7年間、どうしてか今の今まで眠っている。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
