割れ物の日常へ ページ47
あの後なんとか無理を言って東都の病院に移る事となった。とは言え、数日で退院した。毒は即効性はあるけど持続性はあんま無かったっぽい。
「はいこれ、何だかんだ渡すタイミング無かったから」
「お、サンキュー灰原ちゃん結婚してくれ」
「嫌」
「や…八つ橋」
「しりとりを始めないでくれる？」
「何やってんの遥斗兄ちゃん…」
「あ、モンブランどうぞ」
退院後に阿笠さんの家に寄り、灰原ちゃんから博士が作ったという例の変声機――マスク型変声機をいただいた。ついでに彼女のご注文のモンブランを渡す。早速試そっと。
「あー、あー…モノマネいっきます！――泥沼困難、免停さ！」
「江戸川コナン、探偵だッ！」
コナンくんの声が出るように調整して遊べば、叫ぶコナンくんにカラカラ笑って、阿笠邸で茶菓子をいただ…こうとしてやめた。
「そういえば灰原ちゃんのあの答え、言ってなかったっけ」
「確かに。――どうして私だけ灰原ちゃんなの？」
『ハル――…』
今は聞こえないフリだ。だって答えなければ、彼女に失礼だろ？
(目が覚めた時、思いっきり僕を心配したような目で見てきて…手を跳ね除けちゃった時は、傷付いた顔しちゃってさ。視線には気付きやすい僕だ、分からない訳ない)
それに曖昧なままだと、彼女を嫌ってると思われてしまう。それは嫌だなぁ。
「ごめんね。初恋の女の子の名前と同じ名前でさ。でも初恋破れてちょっとショックで」
「…それで呼べないと？」
「我ながら女々しいと思うぜ。初恋は叶わないっての、本当だったんだなぁ」
「ふぅん…そう」
「別に灰原ちゃんの事が嫌いな訳じゃないしむしろ好きだから、これからも安心して僕をこき使ってくれ！」
「そういう趣味なの？」
「入院、延ばしてもらったら？」
「もう病院食はこりごり…」
たはは、と笑った。
「でもこれで安心して外に出歩ける！ありがとうございます、阿笠さん！」
「いやいや、構わんよ。また何かあれば頼るんじゃぞ」
「やだしゅき…」
「「…」」
「おーいそこ二人引くなー？」
阿笠さんの包容力にじーんとして感動してると、幼児化組二人に静かに距離を置かれた。やんなっちゃうぜ。
「ん、そういやそろそろ帰んないと」
「何か用事でもあるの？」
「配信だよ、しばらくお休みしてたからその分やらないと。――それじゃあ失礼！あぢゅー！」
「それを言うならアデューじゃないの？」
うっせ、ほっとけ。
再び阿笠さんにお礼を言って、家を出た。
茶菓子は食べなかった。
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想世(プロフ) - トめAと@カド松さん» コメントありがとうございます。過去だけでもSAN値ゴリゴリ削られてますね… (2022年8月11日 9時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - SAN値ヤバそう･･･ (2022年8月11日 7時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 深夜さん» コメントありがとうございます。帰省の際に何かしらの悶着はありそうですね。 (2022年5月29日 19時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
深夜 - コレお母さんとひと悶着あるパターンかな?(フラグ) (2022年5月29日 19時) (レス) id: 19b009e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 時凪さん» コメントありがとうございます。執筆の励みになります。これからも更新を頑張らせてまいります。 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年5月29日 16時
