. ページ34
アサヒが一ヶ月ほど峠をさまよい、ついこの間に目が覚めたようだ。
お見舞いに行けば、彼はベッドの上から頭を下げた。
「俺にとっては数日ぶりですけど、多分お久しぶりですよね」
「アサヒは一ヶ月も昏睡していたしな」
ゼロから聞いたが、アサヒはゼロを庇って下半身不随になり、歩行は絶望的だそうだ。
「多分頑張ったら杖で歩けますけど、杖を強く握るあまり壊しそうですね」
「何でだろうな…目に浮かぶ…」
この男、力はめちゃくちゃあるからな…
手すりに掴まったら、腕の力で立てるんじゃないか？…手すりの耐久度は度外視するとして。
「…怖くないのか？自分の足が動かなくて」
案外、彼は平気そうな顔をしていた。
これからの人生でこんな重い障害を抱えては、彼の表情も少しは変わると思っていたのに。
「もっと恐ろしいものを奪われなかっただけマシだと思ってます。それに比べたら足なんて」
「確かに命拾いしたのは幸運だが、それにしたって――」
「いえ、ｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓としてのアイデンティティです」
「君のそのこだわりってひょっとして命より重いのか？」
「はい」
即答するのか…
「俺は俺がｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓であることに誇りを持っています。例え誰がどう思おうが」
「…ははっ、やっぱりアサヒはアサヒだな」
「でもそうですね、怖いことなら一つあります」
アサヒにも怖いことなんてあるのか。
怖いもの知らずだと思っていたから、意外だ。
「三途の川を渡ろうとしたら妹に会いまして」
「妹さんのこと、大事にしてたんだよな…ゼロに聞いたよ」
「その妹から色々と怒られまして。もうあんな体験したくないです」
表情変わってないのに、なんかすごい落ち込んでるように見える…
…妹さん、アサヒをここまで落ち込ませるとか、どれだけ怖いんだろうか。
「まあ死ななくて良かったよ、アサヒ」
オレは気を抜いてそう笑えば、アサヒはオレの顔を凝視してきた。
「…どうした？」
「いえ、諸伏さんがそんな風に笑うのを初めて見たので」
…そういえば、アサヒを目の前にするといつも緊張状態になっていたか。
「安心したんだよ、君が無事で。退院祝いは何がいい？今かﾙｧ決めておいてくれ」
「…」
「…どうした？」
「いえ、諸伏さんのラ、変わらないな、と……」
「誰のせいだと思ってるんだよ」
悪かったな。癖なんだよ。
……ただ、あの夢は最近、見なくなったな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
想世(プロフ) - 紅弁慶さん» コメントありがとうございます。ｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓ はしつこすぎず、薄まらないよう気を遣いながら入れているので、そのようなところに気付いていただけて嬉しい限りです！ (4月6日 13時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 想世さん» あぁ…流石要所要所にｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓を匠に入れるｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓さんだ…。ｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓さんは本当にうまーく、何気なく出すんですよ… (4月6日 1時) (レス) id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 紅弁慶さん» ｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓「たとえ死んでも、俺はｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓だし、ｱｻﾋｨ↓ｽｩﾊﾟｧ↑ﾄﾞｩﾙｧｧｧｧｲ↓であることを誇りに思う！！」 (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 残念だったな…工藤くん……死んでもそのこだわりは直せないんだな、これが… (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。こんな ひがいを うみだすとは あさひは やっぱり すっごいわるもの まる(小並感) (4月5日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2024年3月25日 9時
