諸伏景光の受難 ページ31
……ドゥルァァァァイ……
……スゥパァ↑……
……アサヒィ↓スゥパァ↑……
――アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓
「っ!!」
独特なイントネーションが脳内に鳴り響き、目が覚める。
時刻は午前三時。まだ陽光は眠る時間帯だ。
「…久々に見たな…あの夢」
寝汗でべっとりと肌に張り付いた前髪をかき上げ、ため息を吐いた。
任務の帰り、バーボンがいなくなったタイミングで届いたメールは、同じ車にいたライとアサヒスーパード◯イの目を変えさせた。
組織の裏切り者として追いかけられるのは、必然のことだった。
『待てライ、アサヒ……誤解だ』
『アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓です。残念です、スコッチ』
『ッ!』
――そしてオレは、アサヒス◯パードライとライに廃ビルまで追い詰められた。
なんとかライから拳銃を奪って、銃口を自分の胸に押し当てたが…それも無意味な抵抗だった。
『ふんッ!!』
バキッ!と豪快な音を立て、アサヒの握り拳によって拳銃は真っ二つにされた。
後から来たバーボンは固まっていた。
(いや、常識的に考えておかしいだろ…銃ってそんなリンゴみたいに簡単にバキッといかないハズだぞ…)
発砲の反動に耐えられるよう、銃は強固にできているハズだ。人の手で簡単に壊せる代物じゃない。
だというのに、
その後、真顔でオレに迫るアサヒに対し、恐怖を覚えないわけがなかった。
おかげでしばらくは毎日毎日、あの声が響いたものだ。
一度聞いたら耳にねっとりと残るあの低音ボイス…絶妙な抑揚…しつこすぎずアクセントを残す巻き舌…
――アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓の声は、嫌に耳にこびりついた。
そのせいで、しばらく後遺症に悩まされたものだ。
あのCMを聞いたり、コンビニでアサヒ◯ーパードライの缶を見るたびに心拍数が跳ね上がったり…たまにラをルァと言ったり…
(いや、ロクでもない後遺症だな?)
自分でもたまに困惑するが、癖になってしまったのだ。
そのせいでゼロに憐れみの目を向けられた記憶は忘れたい。
手刀によって気絶させられたが、バーボンによって回収され、オレは無事に古巣に戻ることができた。
「…でも妙だな」
何故アサヒは、気絶したオレをあっさりバーボンへ引き渡しのだろうか。
それだけは、どうにも引っかかっていた。
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想世(プロフ) - 紅弁慶さん» コメントありがとうございます。アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓ はしつこすぎず、薄まらないよう気を遣いながら入れているので、そのようなところに気付いていただけて嬉しい限りです! (4月6日 13時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 想世さん» あぁ…流石要所要所にアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓を匠に入れるアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓さんだ…。アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓さんは本当にうまーく、何気なく出すんですよ… (4月6日 1時) (レス) id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 紅弁慶さん» アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓「たとえ死んでも、俺はアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓だし、アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓であることを誇りに思う!!」 (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 残念だったな…工藤くん……死んでもそのこだわりは直せないんだな、これが… (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。こんな ひがいを うみだすとは あさひは やっぱり すっごいわるもの まる(小並感) (4月5日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:想世 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2024年3月25日 9時