㉘ ページ28
アサヒが目を覚ましたと一報が入ったのは、組織が壊滅した後処理も終えて休暇に入っている最中のことだった。
「アサヒ!」
一目散に彼の病室へ向かい、彼の無事を確認しに来た。
このまま一生目を覚まさない可能性もあったのだ。正直、僕も彼の無事を疑っていた節があったから、朗報だった。
アサヒはちゃんと目を覚ましており、頭に包帯が巻かれた状態で来客の僕に顔を向ける。
「良かった。目を覚ましたんだな」
「どちら様ですか?」
「……まさか、記憶喪失になってしまったのか?」
「自分がアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓だったのは覚えてます」
「何でそれだけは絶対に忘れないんだ」
魂にまで刻まれてるのか?
「冗談です。死に損ないましたね」
「なんとかギリギリだけどな…」
「実は俺、三途の川の手前まで行ってたんですよ」
「死にかけたし当然だな」
むしろ逆に何で自分の図体の二倍もあるコンクリートの瓦礫に潰され、未だ生きてるのか不思議でならない。
「それで、三途の川の向こうに妹がいて、うちわを振ってたんです」
「そうか、妹さんが……ん?うちわを振ってた?手じゃなくて?」
話の雲行きが怪しくなってきたぞ。
「"こっちくんな♡"って書かれたうちわをふりふり振って中指を立ててました」
「もしかして君たち、仲が悪いのか?」
「正直へこむ…」
「ここまで落ち込む君は初めて見たな」
「どぼじで……」
「元気を出してくれ」
この男は若干シスコンの気があるようだから、妹からそんな拒絶をされたらへこむだろうな。
だがこうもズーンとした様子のアサヒは見たことがない。
「…まあ、妹さんなりの愛情じゃないか?」
「……かもしれませんね」
アサヒはまだ死ぬべき人間じゃない。
だから妹さんも冷たく追い返したのだろう。
兄の犠牲ありきのハッピーエンドじゃ、妹さんも浮かばれないだろうしな。
「そういえば組織はどうなりました?」
「無事にラムもボスも捕らえ、解決した。あれから一ヶ月が過ぎたよ」
「そうですか――え、一ヶ月ですか?」
「ああ」
眠っている間にそんなに時間が経ってた驚きは分かるが、そもそも生きてるだけで奇跡だぞ…
「う、ウメッ◯ュは?」
「伊達に預けてる。子どもも喜んでたぞ」
「そうですか…あ、クリ◯アサヒやヱビス◯ールが衰えてるな…」
「何の話だ?」
「俺の僧帽筋と三角筋です」
「何で筋肉に酒の名前入れてるんだ」
相変わらずだな、この男は。
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想世(プロフ) - 紅弁慶さん» コメントありがとうございます。アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓ はしつこすぎず、薄まらないよう気を遣いながら入れているので、そのようなところに気付いていただけて嬉しい限りです! (4月6日 13時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 想世さん» あぁ…流石要所要所にアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓を匠に入れるアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓さんだ…。アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓さんは本当にうまーく、何気なく出すんですよ… (4月6日 1時) (レス) id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 紅弁慶さん» アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓「たとえ死んでも、俺はアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓だし、アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓であることを誇りに思う!!」 (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 残念だったな…工藤くん……死んでもそのこだわりは直せないんだな、これが… (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。こんな ひがいを うみだすとは あさひは やっぱり すっごいわるもの まる(小並感) (4月5日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:想世 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2024年3月25日 9時