㉕ ページ25
「死ぬな、アサヒ!」
なんとかアサヒから瓦礫をどかした僕は、アサヒの状態に絶望しかける。
下半身はトマトのように潰れ、骨は数え切れないくらい折れている。内臓も無事ではないだろう。
まだ微かに息も意識もある。
だが、一体いつまでもつか。
アサヒの気力次第では、いつ死んでもおかしくない。
「……ふる、やさ、」
応急処置をしながら救護班を呼んだが、もしかするとお手上げ状態かもしれない。
いつもは芯のこもった彼の声も、今は注力しないと聞き取れないくらいか細くなっていた。
「こんなところで死んだら、妹さんに顔向けなんかできないだろ…妹さんの望みは"ハッピーエンドにすること"なのに、お前が死んだらそれが叶わなくなるんだぞ!?」
彼まで死んで何がハッピーエンドだ。
そんなの、妹さんが望んでるとでも思っているのか。
「…さい、ごに…いい、ですか」
やめてくれ。
最期なんて聞きたくない。
「……おれ、は…アサヒィ…スゥパァ…ドゥルァァァァイ、です」
「馬鹿野郎、今はそんなことを言ってる場合じゃ…!」
「降谷さん……ほんとに、これ言うの、へたくそなんで……練習、しておいて、ください」
「ロクでもない遺言を残そうとするな!」
死に際かもしれないのにこの男は変わらないな!
「僕だって別にアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓くらいちゃんと言えるぞ…!」
「いえ、スゥパァ↑とドゥルァァァァイ↓の緩急がまだまだ甘いです。もっと修行してください」
「急に饒舌に喋るな!」
セミファイナルかよ。
頼むからなけなしの生命エネルギーをこんなことで使い果たそうとするな。
「……あとは、たの、み…まし、た……」
そう言って彼はゆっくりとまぶたを下ろす。
本当は"死ぬな"と激励を飛ばし続けたかったが、そうもいかない。
救護班が駆けつけると、僕は彼らに任せてアジトを出た。
ラムの策略によってボスが取り逃されたのだ。奴らを追って引っ捕らえなければ、また新たな悪事による被害が出かねない。
途中でコナンくんや赤井と合流し、三人で知恵を絞ることでラムやボスの居場所を特定した。
――そして彼らを捕まえ、組織は壊滅の一途を辿ることとなった。
アサヒは緊急医療搬送され、一命は取り留めたが無事とは言いがたい。
というのも出血多量だった上、アサヒの毒耐性が災いして薬が効きづらかったのだ。
アサヒが病院に運ばれてから、一ヶ月。
彼はまだ、目覚めない。
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想世(プロフ) - 紅弁慶さん» コメントありがとうございます。アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓ はしつこすぎず、薄まらないよう気を遣いながら入れているので、そのようなところに気付いていただけて嬉しい限りです! (4月6日 13時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 想世さん» あぁ…流石要所要所にアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓を匠に入れるアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓さんだ…。アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓さんは本当にうまーく、何気なく出すんですよ… (4月6日 1時) (レス) id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 紅弁慶さん» アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓「たとえ死んでも、俺はアサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓だし、アサヒィ↓スゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓であることを誇りに思う!!」 (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
紅弁慶(プロフ) - 残念だったな…工藤くん……死んでもそのこだわりは直せないんだな、これが… (4月5日 21時) (レス) @page36 id: 3f79d1fd3d (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。こんな ひがいを うみだすとは あさひは やっぱり すっごいわるもの まる(小並感) (4月5日 16時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:想世 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2024年3月25日 9時