丑三つ時の泡沫−�� ページ9
「それで、どうかしたのかな？どうやら僕に聞きたい事があって、わざわざ家まで来たみたいだけど」
帽子をリビングのテーブルに置いたコニャックは飲み物を用意すべく、キッチンへと立った。戸棚からお茶を取り出し、電気ケトルに入った水がお湯へ変わるのを待って、リビングで適当に寛ぐ宗一へ要件を尋ねる。
「お前に渡されてた、あのクローバーの小箱の中身のこった」
「…中身、見たんだね」
「ああ。"青木遥斗が危険な目に遭ったら、何が何でもこの小箱を開けさせて"…って言ってたろ。だからお前の言う通り、遥斗が人質になった時、俺は命懸けで遥斗に箱を渡した」
「あの時はありがとう。あの箱の中身が
「その色々を聞きたいが、まず始めに聞きたい事がある」
お湯が沸けば、コニャックはそれをティーパック入りのコーヒーカップ二つへ注いだ。リビングにいる宗一をキッチンから一瞥したコニャックは、宗一の質問を待つ。
一呼吸置いて、宗一は意を決して口を開いた。
「なぁ…あの箱の中身、何なんだ」
「何なんだも何も、見たんじゃないのかい？見た通りだよ。それとも、変な物でも見たかい？」
コニャックは自分と宗一の分のお茶を運べば、宗一にも茶を出す。彼は宗一の決心など意にも介さず、自分で入れたお茶を呑気にもすすっていた。
「――俺の見間違いじゃなければ…あれは、人の歯だった」
「うん、そうだよ」
あっけらかんと肯定するコニャック。それに対し、宗一はコニャックの胸倉を掴んだ。
「どういう事だよ？」
「どういう事って？」
「…コニャック。テメェ、何隠してんだよ」
「…初めて会った時に言ったろ、宗一くん」
宗一の行動のせいでこぼしかけたお茶を置き、コニャックは肩をすくめる。
「"僕は誰も巻き込むつもりはない。青木遥斗も、宗一くんも。これは僕の抱えるべき問題だから"」
「ッ…」
「なぁ、宗一くん。散々言っているだろう？」
コニャックの胸倉を掴む宗一の激情がこもった手から力が抜けると同時に、コニャックはその手に自分の手を添え、離させる。そして視線を落として顔を逸らした。
「僕は君達に笑って過ごしてほしいから、巻き込むつもりも、言うつもりもないんだよ」
そして彼は、弱々しく笑った。
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想世(プロフ) - ネルさん» コメントありがとうございます。そのようにおっしゃっていただき、とても嬉しい限りです。 (10月30日 21時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ネル - 最新話のイラストのコニャックの顔が本当に好きです！！闇のありそうな顔というか…！！ (10月29日 21時) (レス) @page28 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年5月26日 16時
