Who is ambivalence？−�� ページ5
「昔会った貴方は、アルマの言いなりだった。それが随分なご出世を果たしたものですね。さぞかし鼻もきっと高くなっているでしょうね？」
「まるで僕が天狗のようではありませんか。酷いなぁ…」
「おや、自覚がおありで？」
「自覚なんてありませんよ。能力に見合わぬ地位を頂戴している自覚ならありますけどね」
コニャックはバーボンからよそへと視線を滑らせる。水平線を灰色の瞳に映せば、彼は嘆息気味に言葉を続けた。
「僕がこうして"コニャック"の名を冠する羽目になった理由だって、色んなことが重なった偶然の結果です。勿論、スコッチを殺したことがキッカケですが」
「…それは一体？」
「さぁ。ああ、でも――僕の父親について調べれば、分かるかと」
バーボンの脳裏によぎったのはアルマニャック――コニャックの義父だ。しかしバーボンは妙な引っ掛かりを覚えた。
「けど、まあ…収穫は無しですか。残念です」
だがコニャックは残念そうに声のトーンを下げ、バーボンに背を向けた。
「もう行ってしまわれるんですか」
「僕の要件は果たしましたから。また何かあったら…そうですね、一週間後にでも。その間は、あまり青木遥斗に近付かないでほしいですね」
「――と言っても、貴方は近付くのでしょうけど」
黒ベストの背は、虚無感が漂っていた。相変わらず精彩の読めぬコニャックは、気味が悪い程にバーボンを見透かした口調で言い放つ。
「青木遥斗に近付かれたくない理由でも？」
「…答える義理はありませんね」
「例えば、コニャックの人格が現れてしまいそうになるから…とか」
「…」
「血が苦手だと仰る理由は、プルースト効果――特定の匂いにより、それに結びつく記憶が呼び起こされるから。実際、血のにおいで青木遥斗はえずいていた。記憶が蘇ってしまいそうになったから」
ふとバーボンは推理を口にしながら、一つの仮定に思い至る。
「ああ…ひょっとして貴方、二重人格ではなく――」
「だから貴方のことが嫌いなんですよ、バーボン」
バーボンから背を向け、足を進めていたコニャックは立ち止まった。そのまま振り返れば、彼は明らかに作られたと分かる程口角を上げられた笑顔を浮かべた。
「貴方は察しが良すぎる。何も語らなくとも正解に辿り着いてしまうんですから、本当に…」
「――バーボン、貴方のことは大嫌いです」
言葉とは裏腹に、コニャックは喜色を取り繕った。
阿笠邸の緊急会議−�、�←Who is ambivalence？−��
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想世(プロフ) - ネルさん» コメントありがとうございます。そのようにおっしゃっていただき、とても嬉しい限りです。 (10月30日 21時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ネル - 最新話のイラストのコニャックの顔が本当に好きです！！闇のありそうな顔というか…！！ (10月29日 21時) (レス) @page28 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年5月26日 16時
