放棄するしかない謎 ページ36
工藤邸では話が進む。切れ者二人が揃うだけで、様々な切り口から議題に対して推察が揃った。だが肝心な事だけは、天下一品の頭脳を持つ二人でも解き明かせなかった。
「――コニャックは二年前からボク達の事を知ってたのかな？」
知り得ぬ道理と破綻する時間軸はコナンでも解き明かせないのだった。
ならば阿鳥宗一がウソを吐いているのか？
その可能性も否定出来なかったが、赤井の話を聞くに嘘を吐いた様子は無く、直情的に素直に語っていたという。そもそも"二年前に聞いた"などと嘘を吐く理由はどこに？
「…どうやら考えるより直接聞いた方が早そうだな」
赤井は告げる。
それは誰よりも聡い男の思考放棄。実質的なお手上げだった。コナンは悔しさを覚えるが、赤井の言う事はもっともである。このまま考え続けても、議論の停滞を手招くのみ。
「…じゃあ、コニャックの義父が死んだ事はどう思う？」
「その口ぶりだと、聞いているのか？コニャックの義父がアルマニャックというネームドである事を」
「うん、安室さんから聞いたんだ」
安室透。彼も赤井と同じくして、スパイとして組織に潜入した男である。赤井との相違点は、今でなお組織に潜り込めている事か。
そしてつい先日工藤邸に乗り込み、赤井達を困らせた男でもある。コナン達の策もあって凌いだが、その余韻からか、赤井は目を細めた。
「安室さんと赤井さん――そしてもう一人、スコッチっていう男と組む事になった矢先、のちのコニャックである倉間遥斗を雑用として使わせたのが、倉間遥斗の義父であるアルマニャック。そう聞いてるよ」
「ああ。ヤツは薬学や人体解剖学に長けた男で、拷問や殺しを得意とするネームドだ」
あまりにもむごい長所。彼の背景の罪を想像し、コナンは嫌悪で顔を歪める。
「コニャックの言う通りだったら、死んだらしいけど…」
「…死んだとは聞いた。その詳細を聞いた事は無いが。ただ…」
「…ただ？」
「…本当に何も情報が無い。ネームドが死んだら、どう死んだか噂くらいある筈だが」
火の無い所に煙は立たぬと言うが、火はあるハズなのに煙が見つからないのだ。赤井はそれを怪訝に思った。
「アルマニャックの死に、コニャックは関係あるのかな」
「分からんな。だがコニャックは昔と随分と変わっていた。原因を考えるとすれば、アルマニャックの死も考慮していいだろう」
切れ者二人の会議はそこで終えた。
コナンの携帯に、晩飯を報せる幼馴染からの電話が来たからだ。
怪しさ満点のご都合主義−�、�←ハイリスクハイアルコール−��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
想世(プロフ) - ネルさん» コメントありがとうございます。そのようにおっしゃっていただき、とても嬉しい限りです。 (10月30日 21時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ネル - 最新話のイラストのコニャックの顔が本当に好きです！！闇のありそうな顔というか…！！ (10月29日 21時) (レス) @page28 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年5月26日 16時
