表裏の追求−�� ページ15
安室に着いてポアロへ来た遥斗は、そこのテーブルで足をぷらぷらとさせてオレンジジュースを飲んでいるコナンがいる事に気付く。コナンも安室と共に入店した遥斗を見れば瞠目し、息を呑んだ。
「は、遥斗兄ちゃん？」
「あれ、コナンくん。奇遇だね」
遥斗は手を振り、にこよく挨拶する。笑顔はいつも見る遥斗であり、声も明るくも落ち着く青木遥斗の声である。青木遥斗はコニャックであるという前情報が無ければ、コナンも気を抜いて接していたに違いない。
「安室さんと一緒だったんだ」
「うん、そこでたまたまね」
「へぇ…今日は宗一兄ちゃんと一緒じゃないんだね！」
「別に彼とはいつも一緒にいるわけじゃないさ」
遥斗は適当な席に着いてメニュー表に目を通そうとする。が、そこにコナンは待ったをかけた。
「席、遥斗兄ちゃんと一緒がいいな！」
「…いいよ。何か奢ろうか？」
「い、いや、そこまではしなくともいいけど」
微笑と共に遥斗は節介を申し出たが、コナンは断った。「そう？」と遥斗は首を傾げるが、コナンとてむやみやたらと遥斗の善意を受け取る気は無い。
それは偽善かもしれない、と警戒するが故に。
「遥斗兄ちゃんは何頼む？」
「僕は…うん、ハムサンドとコーヒーにしようかな。安室さん、お願いします」
「ええ、かしこまりました」
遥斗の注文に、一瞬安室の周りの雰囲気がピリつく。それに気付けたのは店内ではコナンと遥斗のみであり、コナンは安室にも気を配る。
(…青木さんが記憶を失くしやすいのも、作り話なんだろうか)
果たしてその話を作る必要性はあるのか？コニャックの事で言及されても安っぽく煙に巻く為か？コナンの明晰な頭脳は解を求めるべく、情報収集に乗っかって遥斗の観察を行う。
身なりはいつもの青木遥斗だ。ゾワゾワとした悪寒を感じるような気配はしないものの、何やら上機嫌なのか常に口元は笑みを浮かべている。
「遥斗兄ちゃん、なんか機嫌が良さそうだね。何かいい事でもあった？」
「うん、あったんだよ。とってもいい事」
「へぇ、なになに？」
「内緒。君には言えないなぁ」
「ふーん？もしかして――誰にも言えないような事？」
コナンの眼鏡がキラリと光る。尋問で問い詰めようとするコナンに対し、遥斗はサービスのお冷を適当に煽った。
「いや、成人には言えるよ？」
「…え？」
「お子様にはまだまだ早いお話って事」
意地悪く遥斗は笑う。
コナンはその言葉の意を汲んで、虚を突かれて口を開いていた。
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想世(プロフ) - ネルさん» コメントありがとうございます。そのようにおっしゃっていただき、とても嬉しい限りです。 (10月30日 21時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ネル - 最新話のイラストのコニャックの顔が本当に好きです！！闇のありそうな顔というか…！！ (10月29日 21時) (レス) @page28 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年5月26日 16時
