翻弄の二枚舌−�� ページ12
「うぁ゛ー…」
「いつまで目を半開きにさせるつもりだ、お前…」
「ねみーモンはねみーんだよ、仕方ねェだろ…」
宗一の二度寝から数時間後、船を漕ぎながら鈍い足取りで歩く宗一と、そんな彼に呆れて横を歩く遥斗が歩道を一緒にしていた。彼らの向かう先は宗一の住む阿鳥家。宗一の帰宅に伴い、あまりの睡魔でふらふらな宗一を心配した遥斗が付き添う事になった訳だが、どうも宗一の様子がおかしい事を遥斗は気に掛かっている。
「そもそも、何で急に僕の家に来たのさ？」
「……何でだっけ？」
「何で忘れてんだよ」
「まー、多分寝起きドッキリでもしに行ったんだろ。んで夜通し起きてようとしたら耐え切れず寝落ちした」
「阿呆鳥がよ…」
辛辣な遥斗の言葉が宗一に襲いかかる。だが宗一はぼんやりと、昨日の事をなんとか思い出そうとしていた。
(――昨日、コニャックの帰りを待ってたハズなんだけどな…寝落ちしちまったのか)
宗一は昨日の記憶は曖昧ながら、何故遥斗の家に行ったのか覚えている。
だがコニャックとの会話は忘れてしまっていた。
「遥斗、昨日の夜何してた？」
「普通に飯食って、あとは動画編集して、適当な所で切り上げて寝たけど…」
「そうか」
宗一は重い瞼を伏せ、思索に溺れる。
(…だとしたら、)
「すみません」
だが不意に声をかけられた事により、彼の意識は散った。遥斗と宗一、二人して振り返った先には、二人より身長も高く体格の良い、糸目の優男風の者が立っていた。二人は顔を見合わせるが、どうやら互いの様子から見るにどちらの知り合いでも無さそうだ。
「どうしました？」
「いえ…実は眼鏡の入った箱を落としてしまいまして。探そうにも、私はすこぶる視力が悪く…申し訳ないのですが、手伝ってはいただけないかと」
優男風の男は困ったように眉を下げ、遠慮がちに二人へ頼み込む。二人としても意志は揃っており、同時に頷いた。
「勿論手伝うぜ！ぼやけた視界で探すと、溝に落ちたりして大変だもんな」
「何それ、この間の宗一？」
「俺は視界が良くとも溝にはまるぜ！」
「やっぱ阿呆鳥じゃねーか」
遥斗は呆れの眼差しを並々注ぎ、優男風の男は苦笑をこぼす。
「すみませんね、コイツはいつもこうで…」
「いえ…賑やかな方ですね」
「そんなに褒めてもやる気しか出ねェって！」
「単純ですね…」
褒め言葉として受け取り、まんざらでもなさげな宗一は、眠気も飛ばして早速眼鏡探しに没頭し始めた。
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想世(プロフ) - ネルさん» コメントありがとうございます。そのようにおっしゃっていただき、とても嬉しい限りです。 (10月30日 21時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ネル - 最新話のイラストのコニャックの顔が本当に好きです！！闇のありそうな顔というか…！！ (10月29日 21時) (レス) @page28 id: 23ef5c5b40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年5月26日 16時
