憩いの文通−�� ページ10
少し遅めに帰って退屈な夕食を取り、俺は自室へ戻って学校から出た宿題にかかることにした。アメリカはほぼ毎日宿題があって困るな。ニッポンの高校は高頻度ではないらしい。羨ましい限りだ。
早速宿題を――とノートを取り出しかけた時、テーブルに置いた携帯が一回震えた。一瞬シホかと思ったが、いやないない。彼女は俺の告白文に冷たくいなすように返信することはあっても、彼女から自主的にメールを送ることはまず無い。ましてや今日はまだ告白文なんて送ってない。
となれば、思いつくアテはただ一人。
［ノア、今少しいい？］
俺のメル友くんである。
学校では友人はいなくとも、メール友達やネット友達ならばそこそこいるのだ。是非ともリアルでも会いたいところだが、彼らと基本会えることは滅多に無い。物理的に、あるいは家庭の事情的に無理なのだ。しかしネットを介してならば、遠方での連絡も可能である。良い時代になったものだ。お陰でシホにも告白がしやすい。…ま、告白しやすいあまりに告白し過ぎて彼女にあまり響かないという点は困りものだが。
［いいぜ、さっき解放されたところなんだ。そっちはどう？］
［相変わらず…今日も疲れたよ］
［やっぱり大変なんだな］
［でも楽しいよ。ノアと話してる時もね］
彼の境遇はある意味シホと似ているかもしれない。優秀過ぎるあまり、周りの大人に目をかけられる。ましてや彼は今はまだ九。年齢がだ。しかも彼も彼で部屋に監視カメラがあるほどの監視体制なのだから、窮屈さを感じるだろう。
ま、カメラありきの監視といえど、刑務所でも無いんだからおざなりな部分がある。現に、こうして目を盗んで俺にメールを打つことが出来るのだから。
『お前ならカメラや人の目を盗んでメールを打つなんて、お茶の子さいさいだろ？』
俺とは違って優秀な彼は、ちょっと俺が人の目の盗み方や悪いことの仕方を教えれば、いとも容易く吸収してこうした秘密のやり取りをすることも可能にした。
［…もう少しで面白いものが出来るんだ。自分で言うのもなんだけど、画期的なものさ］
［ほぉー？お前が言うなら人類史に載るやつなんだろうな］
［はは、やめてよ。相変わらずノアは大袈裟だな］
［俺はお前ほど優れた人間を知らないんだ。ただ一人を除いてな］
［…それ、もしかしていつも僕に話すシホって人のこと？］
［そう！よく分かったな！］
［毎度のごとく聞かされてれば、嫌でも分かるよ…］
画面の向こうの苦笑を幻視した。
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想世(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて嬉しい限りです。シホちゃんとヒロキくんとノア……あれ、ノアはハブられてる！？…と、とにかく彼女達には幸せになってほしいですよね。更新頑張ります。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page41 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ノア…はまあいいとしてシホとヒロキには幸せになってほしい。特にヒロキ！！生きろ！！！めちゃめちゃ面白いですよこれ凄い好きです。更新頑張ってください！ (2023年4月10日 13時) (レス) id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年2月21日 18時
