異質な純愛者−�� ページ7
「この子も可愛いよな！そういや、シホは何の動物が一番好きなんだ？」
兎にニコニコと楽しそうに笑いかけ、彼は私へ振り向いた。その笑みは無邪気で幸せそうだ。悩みなんて無さそうで羨ましくさえ思う。
(私も組織さえ無ければ…)
――物心がつく前から、私の一家は犯罪組織に囲われていた。更には両親を亡くし、姉とはほとんど離れ離れ。会えなくはないがお姉ちゃんは日本、私はこの通りアメリカにいるため、滅多に会えない。アメリカでの義務教育の期間である高校卒業まではアメリカ、それ以降は日本へ行くことになるけれど…
(…日本に行けば、今よりもっと監視がつきそうね)
両親の研究を引き継いで、科学者へ。両親譲りらしい優秀な頭脳により、かくあるべきと育てられ、今はスクールが終われば薬の開発に携わるようになった。
そのせいか、生活をほとんど握られているのだ。ただし学校にいる時を除いて。
「…小動物だったら何でも」
「じゃあ大きい動物は？」
「嫌いじゃないわ」
「ほぉー？なら今度一緒に動物園行こうぜ！来年になったら、車の免許も取れるしさ！」
…本当はあまり帰りたくない。家とは呼べないそこに温かさは微塵も無く、私の存在意義とは両親の研究。それが出来なければ無価値も同義。人を人とは思わぬ組織のあり方に、私は辟易していた。
でもだからと言って、学校が好きなワケでもなかった。クラスメートは東洋系の顔立ちであることを理由に嫌がらせしてきた。今陽気に顔を輝かせてる彼――オルソンがいる時は基本しないけれど、暴言や無視、酷い時には物に細工か物自体無くなっている。こっちはこっちで、居場所が無い。
だから、彼といる時は他の人よりは気を許してしまう。思わず冷たい態度を取ってしまうけれど、彼のおちゃらけた性格に、私はあまりイヤなことを思い出さないでいられた。
学校が終われば、本当はすぐに帰らなければならない。けれどウソのメールを送り、帰宅を引き延ばしていた。
「シホ、どうかした？」
「…急に何？」
「段々顔が暗くなってきたからさ。好きなヤツの状態くらい、聡くて当然だから分かるよ」
悪意を向けず、ただ好意一点を私へ向ける彼は、他の誰とも違った。そんな彼の横の居心地は案外悪くないから、毎日私の所に来ようと許してしまう。
「あ！もしかして、俺との別れが近くなるのが惜しくて――」
「自惚れないでくれる？」
だけど素直のなり方がよく分からなくて、いつも調子を狂わされて、つい冷たくしてしまう。
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想世(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて嬉しい限りです。シホちゃんとヒロキくんとノア……あれ、ノアはハブられてる！？…と、とにかく彼女達には幸せになってほしいですよね。更新頑張ります。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page41 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ノア…はまあいいとしてシホとヒロキには幸せになってほしい。特にヒロキ！！生きろ！！！めちゃめちゃ面白いですよこれ凄い好きです。更新頑張ってください！ (2023年4月10日 13時) (レス) id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年2月21日 18時
