微睡の期待−�� ページ38
「そーいやもう少しで俺たちも十六歳…最高学年だな。あ、卒業前にはプロムがあるな！」
微睡に負けざるべく話題を考え、ふと思いつく。
プロム、それは魅惑的な響きのイベントだ。プロムでは男女ペアになり、男が女を迎えて夜を過ごす。ダンスパーティーで夜に興じることもあれば、二人きりでディナーなんてことも。シホの性格的に後者の方が良いだろうけど…
「…何、私の方を見て」
「シホ、プロムは一緒に――」
「無理」
「まだ言い切ってない！」
デスヨネー。
シホの保護者が許してはくれないだろう。何せ夜は彼女は研究で忙しいらしい。
「なら俺もプロムの日は家にいるよ…」
「友達とでも行けば？」
「俺はシホと行きたいんだよ」
「そ」
「そっけなぁい…」
興味無さげに適当に返事する辺り、本当にどうでもよさそうだ。それとも、俺がシホ以外とは行かないと理解してたからこその返事なのか。
「…俺たちがこうして頻繁に会えるのも、あと一年くらいか」
「…」
「なぁシホ。プロムは無理でも、ちょっとした思い出作りはしようぜ」
「例えば？」
「そーだなぁ…」
出来れば学校内での限られた時間で出来るロマンチックでインパクトの強いことが良いが、そんなものはそうそう思いつくハズもない。
「シホは何がしたい？」
「…別に、何でも」
「拒まないところを見ない限り、思い出作りに反対はしないんだな？」
「悪い？」
存外、彼女にしては見せた乗り気に俺は呆気に取られる。
…ああ、まったく。
「いや、むしろ有難いな。そこまで期待されちゃあ、俄然やる気が出ちまう」
「そう。ほどほどに楽しみにしてるわ」
………。
「…何？そんなマヌケ面を晒して」
「いや…シホ、何かおかしな物でも食った？」
「失礼ね」
目を白黒させて困惑する俺に対して、彼女はいつも通り辛辣な言葉を放った。
…そうだよな。何だかいつもより素直に見えたが、彼女が俺にデレデレになる日なんて来たら翌朝に隕石が降ってきてもおかしくない。
「なんだか失礼なことを考えられている気がする…」
「流石俺の志保。――いてっ、足踏むなよ！」
「あら、足が滑ったわ」
「俺たち、座ってるんだけど！？」
絶対わざとだ！でもシホに構われて嬉しい俺もいる！俺って本当にどうしようもないヤツ！
「何でむしろ頬を綻ばせているのかしら」
「シホとこうして日常を送れていることが幸せで」
「…そうやって人前でニマニマするの、気持ち悪いからやめた方が良いわ」
「どストレートぉ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
想世(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて嬉しい限りです。シホちゃんとヒロキくんとノア……あれ、ノアはハブられてる！？…と、とにかく彼女達には幸せになってほしいですよね。更新頑張ります。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page41 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ノア…はまあいいとしてシホとヒロキには幸せになってほしい。特にヒロキ！！生きろ！！！めちゃめちゃ面白いですよこれ凄い好きです。更新頑張ってください！ (2023年4月10日 13時) (レス) id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年2月21日 18時
