不吉な歯車はかくて回る−�� ページ25
家に帰ればつまらない時間が来る。ただひたすらに心を殺して過ぎ去れば、後に来るのは宿題や自由時間を含めた就寝時間だ。
(はぁ…ああ、オタクにお礼のメールを送っておかないとな)
乱雑に椅子に座り、パソコンと向き合う。キーボードをいつもより乱暴気味に打って送れば、照れ隠しの返信が来た。後でオタクの欲しいグッズを買って、送っておかないとな…
他にすることは…とスクールバッグへ視線を滑らせると、室内に振動音が響いた。この部屋に置いている響く物と言えば、携帯しかない。もしやヒロキか、と予想をつければ当たりだった。
(AIでも作り始めてんのかな…)
彼とはいつも朗らかに話す。だから今日も彼とは面白く話が出来る――と思ったが、今日は気色が違った。
［ねぇノア、なんだか変なんだ。いつもより監視が厳しくなった］
［厳しくなった？心当たりはあるのか？］
［いや…分からない。でもメールはバレてないハズだよ。でなければ没収されてるし…それより、トマス・シンドラーって知ってるでしょ？］
［知ってるも何も…君を引き取った、あのシンドラーカンパニーの社長だろ。ウチも株を持ってるし、父親と親交はある］
シンドラーカンパニー。ITの大企業であり、社長を務めるは創設者でありながらIT産業界の帝王の異名を持つ、トマス・シンドラー氏。母親を亡くしたヒロキを引き取った、お偉方の中のお偉方だ。
［彼に"古美術の自慢のコレクションだ"って言われて見せられたものの内の、ジャック・ザ・リッパーの短剣に付着していたDNAサンプル…それをコンピューターに取り込んで、DNAの持ち主を明かそうとしたんだ］
［それでどうかしたのかい？衝撃の事実が判明したとか？］
［ううん、まだ分からない。でもそれを報告したら、彼が青ざめて…］
…どういうことだ？何故彼が青ざめる必要がある？
トマス・シンドラー氏とは面識がある。彼は少しのことじゃ物怖じせずに道を切り開き、自らが創設した企業を大きく育てた大物だ。並大抵じゃない貫禄を兼ね備えたあの男が青ざめるほどの真実が、その短剣に眠っていると？
［…ヒロキ、多分その検証はやめた方が良い。嫌な予感がする］
［そう？でもデータのサンプルを取るのに最適で…何より、あのジャック・ザ・リッパーに近付くチャンスだ］
［ああ、解明したらどこかの誰かはひっくり返るだろうな。だが世には解き明かさない方が良いこともある］
ましてやあの男の顔色を変えさせたのならば、特に。
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想世(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて嬉しい限りです。シホちゃんとヒロキくんとノア……あれ、ノアはハブられてる！？…と、とにかく彼女達には幸せになってほしいですよね。更新頑張ります。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page41 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ノア…はまあいいとしてシホとヒロキには幸せになってほしい。特にヒロキ！！生きろ！！！めちゃめちゃ面白いですよこれ凄い好きです。更新頑張ってください！ (2023年4月10日 13時) (レス) id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年2月21日 18時
