軽口好きの恋心−�� ページ22
物語は中盤へ刺さりかかろうとしていた。今が良い所なのだと察していた――が、時間を確認すれば授業前ギリギリ。泣く泣く視聴をやめて二人して次の授業の準備を整えた。
「シホ、これ面白かった？」
「そうね、あなたが口を閉ざすから集中出来たわ」
「おかしいな、俺は映画の感想を聞いたハズだったんだけど…」
だが一応不評ではなかったらしい。よくよく見ればくすりと緩く口角を上げた彼女に気付き、内心胸を撫で下ろす。
「明日も一緒に見ようよ、シホ。出来れば最後まで」
「ま、あなたとのおしゃべりよりは夢中になれそうね」
「俺と話してたら、照れて集中をかき乱されるって？」
「一言も言ってないわよ。脳内お花畑なの？」
「108本の薔薇なら常に君にあげる準備は万端だぜ、シホ」
「結婚はしないから」
ちぇっ、残念だ。108本の薔薇をあげれば"結婚してください"という意味になるらしいが…フラれてしまった。
「シホ…日本では108は
「傍迷惑ね」
「悪いな、シホ。でも人を想う気持ちは、誰にも止められないんだ。つまり俺は君を想い続けてしまうのさ。例え君が何度も俺をフろうと」
「…本当にあなた、女を見る目が無いわ」
「おいおい、冗談言うなよ！俺は人を見る目は確かだぜ」
「どうだか…簡単に人に騙されそうだもの」
なんとも辛口な評価だ。確かに普段が普段なので、彼女から見れば俺は不甲斐ないように見えるが…
「はは、シホになら騙されたって構わねーぜ？それに俺、騙されるより騙す方が得意なんだよ」
「あなたが？それこそ冗談でしょう。ミドルスクールで散々やったババ抜きでは私の全戦全勝だったけれど？」
「シホ相手に感情なんか抑えられるワケないだろ！君相手に無だなんてつまらない表情でいたくないんだ！」
「言うようになったじゃないの。初めて会った時は、いつも常に酷くつまらなさそうな表情をしていたクセに」
「昔は昔、今は今さ。ほら、次の授業に行こう。俺はともかく、シホの成績まで下がったら大変だ」
苦笑気味に彼女の手を取り、次の授業へ向かう。途中の廊下で別れるが、そこまではまるで幸せ絶頂なバージンロードを歩いているような気分になった。彼女の手から離れれば、すぐに寂寥へと変わってしまったが。
「また放課後にな、シホ」
「…勝手にすれば」
「ああ。また勝手に迎えに行くよ、俺のプリンセス」
「そう呼ばないで頂戴、鳥肌が立つわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
想世(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて嬉しい限りです。シホちゃんとヒロキくんとノア……あれ、ノアはハブられてる！？…と、とにかく彼女達には幸せになってほしいですよね。更新頑張ります。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page41 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ノア…はまあいいとしてシホとヒロキには幸せになってほしい。特にヒロキ！！生きろ！！！めちゃめちゃ面白いですよこれ凄い好きです。更新頑張ってください！ (2023年4月10日 13時) (レス) id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年2月21日 18時
