魔法の在処−�� ページ19
［あ、そろそろやめないと。またね、ノア］
ああ、またな。
内心で頷いてスマホの画面を暗くした。さて、宿題を――と向き合おうとすれば、目の前にあるパソコンはメッセージを受信したことを知らせていた。どうやらオタクから返信が来たらしい。
［N氏、取り敢えず王道のアニメ映画をかき集めてきましたぞ］
［thxオタク、流石は俺の友達だな］
［褒めても何も出ませんぞ！しかし代わりと言ってはなんですが…分かってますな？我々の付き合いですから！］
コイツは相変わらずというか、なんというか…苦笑気味に肩をすくめて、返事を打ち込む。
［分かってる、アメリカ限定のマイリ◯ルポニーのぬいぐるみだろ？いつもの住所でいいか？］
［流石はN氏！ええ、ええ、よろしく頼みますよ。同士よ！］
［俺はオタクみたいにケモナーではないな…］
［んん、残念ですな］
女児用のぬいぐるみを好む成人男性…アメリカにもいなくはないが、ニッポンではこんなに熱狂的に好んでいる人間もいるという点ではやはりイカれてる。確かに女児にウケそうなお馬のぬいぐるみは俺も可愛いとは思うが…たまにこうして、お礼としてこいつに買ってはプレゼントしている。
さて、リストアップされたいくつかの映画のタイトルに目を通し、検索をかけてどれが一番好評か調べる。
これにしよう、と決めた頃には昨日寝てなかった分も含めてとても眠くなっており、俺は机に突っ伏したまま寝落ちてしまったのだった。
▽
やけに長い廊下を歩いていた。いつも見る建物より天井は高く、窓の位置も高い。窓からはいっそ刺々しいまでの夕陽の明かりが差し込んでおり、学校のチャイムがスローモーションのように鳴り渡る。
誰もいないこの空間で一人でに靴を鳴らして淡々と歩いていた。目的地は言われなくとも分かっている。あの教室だ。
見知った人影を探してその教室へ入る。いたずらに明かりは消されていたが、だからこそ夕陽がいっそう際立って見えた。
トパーズのような宝石がごとく、黄昏は辺りを幻想的に彩っていた。夕刻にほんの少しだけ見せる空の気まぐれ。少し時が経てばあっという間に夜の帳に隠されてしまう太陽の思し召し。自然の儚い時間は、本来であれば人の心を揺れ動かすものなのだろう。
――けれど。
自分以外に誰もいない教室から、背を向けて出ていった。
何も思うことなど無かったから。
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想世(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そのようなお言葉を頂けて嬉しい限りです。シホちゃんとヒロキくんとノア……あれ、ノアはハブられてる！？…と、とにかく彼女達には幸せになってほしいですよね。更新頑張ります。 (2023年4月10日 14時) (
レス) @page41 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ノア…はまあいいとしてシホとヒロキには幸せになってほしい。特にヒロキ！！生きろ！！！めちゃめちゃ面白いですよこれ凄い好きです。更新頑張ってください！ (2023年4月10日 13時) (レス) id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/
作成日時：2023年2月21日 18時
