小手先の悪癖−�� ページ7
やられた。
灰原ちゃんは誘拐されてしまったし、それをエサにまんまと僕まで誘き寄せられてしまった。
現状は最悪だ。不幸中の幸いなのは、バッグの落とし物により僕らの誘拐を悟らせにくくしたかったのか、バッグもトランクに入れられていた事くらいか。お陰で防犯グッズである常備用スタンガンで反撃に成功して、誘拐犯と思しき男の無力化に成功した。
…が、状況が多少マシになった程度だ。
(ここは…どこかのビルの地下の駐車場か？車で無理矢理外に出れるかもしれないが…)
生憎と睡眠耐性のある僕ですらキツい睡魔のせいで、今にも再び眠ってしまいそうだった。瞼が重くて重くて仕方がない。それでも堪えていたのは、学生時代の馬鹿な真似した僕のお陰と、気力故だった。
(事故が怖い…やめておこう)
でも今は、自分が無事に車の運転が出来る体調ではないだろう。衝突事故が恐ろしい。ぼーっとして壁に突っ込む、なんて事もあり得る。
「灰原ちゃん、灰原ちゃん…！」
同じくトランクで眠っていた灰原ちゃんを揺さぶる。が、彼女は起きそうにも無い。僕ですらこんなフラフラなザマだ。健康体の灰原ちゃんはぐっすりだろう。
「…オイ、アンタはどこの手のモンだよ」
スタンガンでビリビリと痺れ、身動きの取れない男を引きずって車の中に入れ、シートベルトで後ろ手に拘束しながら状況把握に努める。…予想はついて、しまうが。
「…ケッ」
男は言葉の代わりに唾を吐いた。予想の範疇内の行動を取る男に、溜息を吐いた。
「アルマだろ？」
「…」
男は何も言わなかった。ずっと僕を睨みつけたまま。
「…手荒な真似は好きじゃないんだけど、お前が仲間を呼ぶかもしれないから」
一種の罪悪感が芽生えながらも、手に持っていたスタンガンの電流を再び男の首に流し込んだ。痺れてガクガクと男が痙攣する様を、いつかの僕に重ねてしまい見れなくなった。しかし助けを呼ばれたら、今の僕らには対応しようが無い。
(楽観視は出来ないけど…シートベルトをキツく手に巻いたなら、千切る事は出来ないだろ)
それほどの力があるならば、僕に反撃に出てる。…と思う。
(ああ、くそッ。今は時間をかけてる場合じゃないんだから、強迫観念もいい加減にしろ！)
心配性な思考に終止符を打った。
武器がスタンガンだけでは心許ない。この男が何か持っている事に一縷の望みをかけ、服の中をまさぐる。
…見つけたのは、ナイフと銃だった。
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想世(プロフ) - みそらーめんさん» コメントありがとうございます。元ネタはとあるボカロ曲ですね。応援もありがたいです、色々と落ち着いたら更新頑張りたいと思います。 (2023年1月22日 9時) (
レス) @page46 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
みそらーめん - 元ネタの元ネタが人間失格、、、！何となく分かるような、、、？この作品、大好きです。体には気をつけて更新頑張ってください。 (2023年1月22日 8時) (レス) @page47 id: c05dcaa337 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます。気に入って頂けたのなら何よりです。これからも更新頑張らせて頂きます。 (2022年12月18日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - やばいめっちゃ好き、、、！面白すぎて一気に読んじゃいました！！独特な世界観が個人的にツボです笑 これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！大好き！ (2022年12月18日 17時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - せいあさん» 再度コメントありがとうございます。自分でも驚きですが、名残惜しくも次作で本編完結となります。どうぞ最後まで楽しんで頂けると幸いです。 (2022年12月1日 21時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年12月1日 18時
