恐怖を押し殺して−�� ページ11
［赤井やコナン君達も遠からず着く。君達は絶対に助ける。だから――君はそれまで、灰原さんを守ってくれ］
「分かった」
今彼女を守れるのは僕しかいない。身体に無理矢理鞭を打ったとしても、彼女は守り切らなければならない。
(そうしないと、死んでも死にきれねぇよ)
壁で眠る彼女へ顔を向けた。…そろそろ起こせば起きてくれるだろうか。
「灰原ちゃん…！」
彼女を少し荒っぽく揺さぶる。さっきはこれでは起きなかったが、時間の経過と共に睡眠作用が抜けていったのだろう。それとも、子ども用にガスの量を減らしていたのか。彼女は酷く重く瞼を持ち上げ、虚ろで夢見心地な瞳が開かれる。
「…はる、と…さん…？」
「良かった、起きた…頼むからもっかい寝ないでくれよ、僕らは誘拐されたんだ」
「ゆうかい…？」
「…ごめん、灰原ちゃん。多分僕のせいだ」
まだ眠いのか、ボーッとした様子の彼女に状況を説明する。ぼんやりとしながらも、話の芯は掴めたようだ。
「つまり…私達、アルマに？」
「…多分。灰原ちゃんまで攫ったのは、僕に対する当てつけか、それとも有効的な人質だと思ったのか…」
確かに僕の入院期間中に、彼女は僕に会いに病院に通い詰めていた。それを目撃したのか、はたまた――…
(いや…流石に無いか？でも…)
――灰原哀の正体を、知っているのか。
(いやいや、ベルモットに協力した事があるからって、分かるわけじゃない…！そもそも彼女は例え組織の仲間内であろうと、幼児化の事を隠してきた)
ジンやあの方にすら隠匿してきた事実を、一体何故あんな男に言う？あり得ない、と弾き飛ばした。
「遥斗さん？」
「あ、ああ…ごめん、ちょっと考え事」
いけない、思考に没頭していた。最優先は助けが来るまで隠れている事だ。
「助けが来るまでの辛抱だから…」
それまで、どうか。
どうか、あんな怪物のような男に見つかりませんように。
「…手、震えてるわよ」
「え？ああ…ただの武者震いだぜ」
「…強がらなくても良いのに」
「強がらないと、やってられないのさ…情けない事に」
表情筋が硬直して、勝手に笑みがこぼれた。僕の下手くそな笑みを見かねたのか、彼女は僕を見上げる。視線には憐憫と不安がありありと浮かんでいた。
「――大丈夫。彼らが来るまで、君は僕が守るから」
自分にも彼女にもしっかりと言い聞かせ、彼女の手をそっと握った。
僕の手が震えている事は直に伝わるだろうに、それでも彼女はしっかりと頷いた。
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想世(プロフ) - みそらーめんさん» コメントありがとうございます。元ネタはとあるボカロ曲ですね。応援もありがたいです、色々と落ち着いたら更新頑張りたいと思います。 (2023年1月22日 9時) (
レス) @page46 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
みそらーめん - 元ネタの元ネタが人間失格、、、！何となく分かるような、、、？この作品、大好きです。体には気をつけて更新頑張ってください。 (2023年1月22日 8時) (レス) @page47 id: c05dcaa337 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます。気に入って頂けたのなら何よりです。これからも更新頑張らせて頂きます。 (2022年12月18日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - やばいめっちゃ好き、、、！面白すぎて一気に読んじゃいました！！独特な世界観が個人的にツボです笑 これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！大好き！ (2022年12月18日 17時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - せいあさん» 再度コメントありがとうございます。自分でも驚きですが、名残惜しくも次作で本編完結となります。どうぞ最後まで楽しんで頂けると幸いです。 (2022年12月1日 21時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年12月1日 18時
