きっとあいはすくうハズだった−�� ページ22
「はぁっ、はぁ…っ！」
息が切れる。喉が焼ける。目が乾く。身体が重くなる。
それでも、私は走る足を止めることは出来なかった。
(早く、早く誰かと合流して遥斗さんを助けてもらわないと――！)
『――ありがと』
自覚があるのか無いのか、彼は震えた声で礼を言った。彼の方が何倍も怖いだろうに、それを押し殺して私を逃がした。何度も踵を返そうと思った。今すぐ彼の元に行って、反撃の一つでもしたい所だった。けれど、私がいて何になるの？
遥斗さんは"助けを呼んだ"と言った。きっと安室という男だろうか。誰でも構わない、彼の現状を打破して助けてくれる人であれば。私では何の力にもなれないから。
薄暗いビルの通路を駆け抜ける。子どもの身体というのは、大人よりも建物を広く感じてしまうから困る。でも助けを呼ばないと、また遥斗さんがアルマに――…
本当に歯がゆい。そばに落ちていた銃で発砲して撃退したい所だったけれど、彼はそれを無言で見咎めた。確かに無謀だ。相手は薬学に精通していながらも、拷問にだって武術にだって長けている。素人に等しい私が撃った所で、好転的に捉えても一発だけ致命傷じゃない場所へ命中するのが関の山。むしろ、反撃されて命の危機すらあった。
急がないと。
激しい肺呼吸と共に、今までより身体は動く。
だからだろう。
刺客に対して気付く余裕など、無かった。
「お嬢ちゃん！」
「――ッ！？」
出口を探して道も分からず、がむしゃらに走っていた私は、通路で声をかけられる。見知らぬ声に戸惑って振り向けば、明らかにアウトローな類の人間が私を追いかけてきていた。
「アンタ、アルマの言ってた灰原哀ちゃんだろ？ちぃッと待ってくれや！」
彼の言い草から推測すれば、雇われた人間なのだろう。彼は私を追いかけ、大人の俊敏さで距離を詰める。
(…確かにアルマ"は"手を引くとは言ってたけども…！)
詐欺師のようなやり口に、内心で絶望が差す。
――いいや、逃げなくてはならない。
命を懸けてでも、恐怖に抗ってでも私を逃がそうとした彼の為にも、なんとか撒いて助けを呼ばなければならない。
けれど大人と子どもの差というのは無慈悲なもの。追手が私に追いつくことなど、赤子の手をひねるよりも簡単な話だった。
第三者が介入しなければ。
「なッ、テメ…ッ！？」
全力を振り絞って走っていた。だから、前にはあまり注意していなかった。
しかし追手は、私の前方を見て驚愕と畏怖の声を上げた
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想世(プロフ) - みそらーめんさん» コメントありがとうございます。元ネタはとあるボカロ曲ですね。応援もありがたいです、色々と落ち着いたら更新頑張りたいと思います。 (2023年1月22日 9時) (
レス) @page46 id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
みそらーめん - 元ネタの元ネタが人間失格、、、！何となく分かるような、、、？この作品、大好きです。体には気をつけて更新頑張ってください。 (2023年1月22日 8時) (レス) @page47 id: c05dcaa337 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます。気に入って頂けたのなら何よりです。これからも更新頑張らせて頂きます。 (2022年12月18日 18時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - やばいめっちゃ好き、、、！面白すぎて一気に読んじゃいました！！独特な世界観が個人的にツボです笑 これからも無理せずに更新頑張って下さい！応援してますぅぅぅ！大好き！ (2022年12月18日 17時) (レス) id: f9af42ef58 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - せいあさん» 再度コメントありがとうございます。自分でも驚きですが、名残惜しくも次作で本編完結となります。どうぞ最後まで楽しんで頂けると幸いです。 (2022年12月1日 21時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年12月1日 18時
