正しくあら不に笑う男 ページ4
とうとう、アルマと会う日の当日となった。心配と憤りが顔に出ないように、偽りの笑顔を貼り付ける。
「待っていたよ、バーボン」
「待たせましたね、アルマ」
アルマが乗る黒塗りの車が僕を出迎えた。"乗ってどうぞ"なんて合図で、敵地に乗り込む心意気で乗る。
「彼は今どこに？」
「そう焦らないでくれ。君も多忙な身なのは分かるが、たまにはのんびりしないと疲れてしまうよ」
「お気遣い無く。自分の体調管理くらい心得ていますから」
「流石だね。――さて、走りながら話そうか」
車は発進する。流石に東都からは離れているようで、結構な距離を走っていた。
「君は遥斗について、どこまで知った？」
「この間言った通りですよ。彼は…未来について、知っている」
「そう。しかし彼の未来予知は、不完全…彼自身の未来が分からない」
アルマはやはり、遥斗さんの未来の知識について詳しい。元から知っていたのだろう。遥斗さんがうっかり口を滑らせるような人とは思えないが…
「ところでバーボン、君は娯楽は嗜むかい？」
「世間一般的に流通しているものなら多少は」
「そうかい。漫画やアニメは？」
「人並みには」
「へぇ。俺も好きでね、たまに人に隠れてこっそり読むのさ」
「そうなんですか」
世間話が始まり、呆気に取られる。とっとと本題に戻るよう促せば、アルマは人当たりの良い笑みを浮かべて謝罪した。
「遥斗の行動で、キュラソーは捕まってしまった…これについてどう思う、バーボン？」
「――脅威、それと同時に…有益になり得ると思いますが」
「俺も同意見だよ。あらゆる薬品のように、扱いを誤れば毒となる。だが正しく作用すれば、役立つ」
「でしたら――…」
「だから、反抗的な態度が取れない程に痛めつけようって思ってね」
アルマの抑揚のない言葉に、拳に力が入りそうになった。
何気に放たれたが、彼の拷問は苛烈そのもの。常人であれば耐えられず、音を上げる事は明らか。
(――まさか僕の事も)
遥斗さんが耐え切れず、僕の事も白状したかもしれない。例えいつ襲われても対処は出来るが…アルマはまだ、僕に何かをする気は無いようだ。
「遥斗は俺の拷問じゃ、中々口を割ってくれなくてねぇ。でも彼の母親を人質にしたら、俺の言う事を聞いてくれるってさ」
「父親のやる事では無いですね」
「父親？…ははっ」
アルマは歪に笑った。
「俺は俺が遥斗の父だとは、一度も思った事は無いよ」
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想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。感動してもらえたのなら何よりです。これからも更新頑張らせていただきます。 (2022年11月11日 16時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - うわぁぁぁあああ！！最近見れてなくてすみません！久しぶりに見て感動しました、、、。これからも更新頑張ってくダセェ(๑･̑◡･̑๑) (2022年11月10日 10時) (レス) @page12 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ばってんさん» 再びコメントありがとうございます。次作はそう遠くない内の制作を予定していますので、続きもどうぞよろしくお願いします。 (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ばってん(プロフ) - 続き楽しみにまってます！！ᕙ( ˙꒳˙ )ᕗ (2022年11月7日 21時) (レス) @page49 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。毎回本シリーズを見つけて読んで頂き、とても嬉しいです。ご自分のペースでどうぞ泡沫編もよろしくお願いします。 (2022年10月25日 15時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年10月21日 15時
