たった一人の夜行列車？−�� ページ25
暗く昏い、金属の匂いがする、よく知る箱の中。どうやら、この箱は走らないらしい。目を開ければ、隣に誰かがいた。
「…電車に思い入れでもあったっけ？」
思わず呟いた。ここはまごう事無き夢の中、そしてこの大きな箱は電車だ。窓の外を見れば、夜空しか見えない。星々がぼくを見ている気がした。隣に座る男は、笑って返す。
「ははっ、こっちに来る前に、実は記憶は無いけど電車に轢かれたとか？」
「ありそうなのやめろ。あの時のぼくならやりかねないし」
「今のお前だってやりかねないけどな。電車はデンジャー！なんつって！」
「…今回はおまえかよ…」
「あ、ひっでぇ！僕だってお前だぞ！？」
隣に座る
結局の所、どこまで行ってもぼくの夢なので、登場人物は全てぼくとぼくの記憶に準ずる人間でしかないのだが。
「もうちょっとテンション上げてこうぜ？これじゃ倉間じゃなくて暗間だぞ」
「うっせぇ」
「まあこんな暗闇じゃ、暗間の方がお似合いだな。字面似てるし」
「うっぜぇ」
自分の事ながら辟易して、静かで暗い電車の中で顔をしかめた。どうしてぼくは、こうも…
「"どうして"なんて分かってるだろうに」
「…」
「お前は一人じゃ生きられない。あの時、毒者のリスナーさんの声が無けりゃ、勝手に死んでただろうしね」
「まーな…」
「でもリスナーだって毒者の動画や配信は楽しみに来てた。疲れを癒しに来ていた。だから、暗い所なんて見せるワケにはいかなかった。…それで暗い事を考えないようにして、思考放棄してたら、楽しい事好きの
「こうしてると二重人格みたいだよなぁ」
「確かにな。こうして話してると完全にそうじゃん」
けらけら笑うコイツはこの場には不釣り合いだった。虚しく響く笑い声がより一層、そう思わせる。
「でも今はもう、完全に死にたいと思ってる」
「当たり前だろ。何日拘束されて、何日痛めつけられたと思ってんだよ。しまいには、ぼくのせいで母さんまであんな目に遭った」
「やっぱり僕って、不幸を撒き散らす存在なんだなぁ。気付きたくなかったな？」
「当たり前だろ。だからさっさと死ね」
「おうおう、そうもいかねーんだわ」
隣の僕が脇腹をこづいた。夢の中なので、痛みを感じる事は無かった。
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想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。感動してもらえたのなら何よりです。これからも更新頑張らせていただきます。 (2022年11月11日 16時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - うわぁぁぁあああ！！最近見れてなくてすみません！久しぶりに見て感動しました、、、。これからも更新頑張ってくダセェ(๑･̑◡･̑๑) (2022年11月10日 10時) (レス) @page12 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ばってんさん» 再びコメントありがとうございます。次作はそう遠くない内の制作を予定していますので、続きもどうぞよろしくお願いします。 (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ばってん(プロフ) - 続き楽しみにまってます！！ᕙ( ˙꒳˙ )ᕗ (2022年11月7日 21時) (レス) @page49 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。毎回本シリーズを見つけて読んで頂き、とても嬉しいです。ご自分のペースでどうぞ泡沫編もよろしくお願いします。 (2022年10月25日 15時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年10月21日 15時
