悪魔は笑う−�� ページ17
「やぁ、遥斗」
(――ああ、クソ。来やがった)
倉間の体感的には半日。現実では21時間後。にこやかにアルマはやってきた。倉間は億劫な気持ちで、目を伏せた。
「…まだ心変わりはしないのかな。君もしぶといね」
平坦な声色でアルマは困ったように笑う。アルマが倉間の頭に手を乗せたが、倉間は何も反応しなかった。
(…どうせ、また…今度は足の爪剥ぎとか、また鞭とか電気とかやるんだろ…)
倉間はヤケクソだった。どうせ痛みが来るのなら、抗っても無意味。やり過ごしてさっさと帰ってもらって、そして今日も無為に過ごす。来たるチャンスの為に。
倉間はようやく痛みに慣れてきた。それによる心身のダメージを、幻聴に慰めてもらう事にも。
「流石に慣れてきたか。もうつねっても、かゆいくらいかな」
アルマは倉間の腕を思い切りつねる。倉間は浅く呼吸を繰り返すだけで、痛みにうめく事も無かった。
「だろうと思ったよ。だから君の為に、こんな物を用意したのさ」
「…？」
アルマは新たな拷問器具でも試すかと思いきや、倉間に見えるようにスマホを一台差し出した。映し出されているのは、一つの音の無い動画だった。
「…ッ！！」
「はは、やる気は出たかい？」
その動画には、倉間によく似た女と倉間のよく知る男が映っていた。女の方は泣きじゃくっており、首を必死に横に振って女を馬乗りする男を拒絶している。にも関わらず、男は女の指を一本折った。
「ぉ゛まえ……ッ！！」
「声も聞くかい？それともここに連れてきて、実演してあげようか」
「ふざけッ…げほっ、やめろ゛…！」
――女は倉間遥斗の母親、倉間遥子だった。
そして男は勿論、青木一雄…アルマだった。
「母さん、には…手を出すなっつったろ…！」
「君が従ってくれるなら、だろ？」
「従うって…は…ぁ、言ったろッ！！アンタがっ、ずっと痛めつける、だけで…！」
「君の心が反抗した挙句折れそうになったのが悪い。…まだ動画には続きがあるけど、見るかい？」
喉の不調のせいでガラガラになった声を荒げ、倉間はギラギラとアルマを睨み付ける。それに涼しい顔して、アルマは首を傾げた。
「骨なんて、何本折ったんだろうね。もう食堂の経営は難しいんじゃないかな」
「………ッ！！」
倉間が力を振り絞り、ぎし、と拘束具から音がした。しかし拘束具は外れそうにもない。その歯痒さに倉間は奥歯を噛み締める。
「君のせいだよ、遥斗？」
アルマはそんな倉間に嗤って、そっと耳元でささやいた。
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想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。感動してもらえたのなら何よりです。これからも更新頑張らせていただきます。 (2022年11月11日 16時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - うわぁぁぁあああ！！最近見れてなくてすみません！久しぶりに見て感動しました、、、。これからも更新頑張ってくダセェ(๑･̑◡･̑๑) (2022年11月10日 10時) (レス) @page12 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ばってんさん» 再びコメントありがとうございます。次作はそう遠くない内の制作を予定していますので、続きもどうぞよろしくお願いします。 (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ばってん(プロフ) - 続き楽しみにまってます！！ᕙ( ˙꒳˙ )ᕗ (2022年11月7日 21時) (レス) @page49 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。毎回本シリーズを見つけて読んで頂き、とても嬉しいです。ご自分のペースでどうぞ泡沫編もよろしくお願いします。 (2022年10月25日 15時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年10月21日 15時
