心配の音色−�� ページ14
「遥斗お兄さん、どうしちゃったんだろうね？」
「最近見ないですねー…」
「家に行ってもいねーもんな」
子ども達の会話をよそ目に、不安を隠すように両手を握り締める。脳内を占めるのは、ある人の安否。
(――大丈夫かしら、遥斗さん…)
アルマに囚われたと聞いて数日。いてもたってもいられない日々は続いていた。
――アルマニャック。
江戸川君から聞いた時は驚いた。アルマと言えば薬学に精通した、拷問や抹殺の任務を受ける事の多い、残忍な性格の男。まさか遥斗さんの義理の父がそうだとは。
(あんなにニオイがした時点で、見抜いておくべきだった…！)
どうして初めて会った時に、遥斗さんに言わないでおいたのだろう。遥斗さん、あの様子だと知らなさそうだったのに。…あの時は、それどころでは無かったけれど。
それにアルマに関してロクなウワサは聞かない。
(大丈夫だと、良いのだけれど…)
「哀ちゃん？」
「え？ええ…どうしたの、吉田さん？」
「どうしたのはこっちだよ！さっきからずーっと上の空だよ？」
吉田さんに不安そうに顔を覗き込まれ、心配される。…そんなに分かりやすいくらい思い悩んでたなんて。
「大丈夫、ちょっと寝不足なだけだから…」
「何だ、ゲームでもやってたのか？」
「灰原さんは遥斗さんじゃないんですから…」
子ども達に彼の行方は話せない。彼の事は江戸川君達に任せておいた方が得策だけれど、それでもたまに落ち着かずに彼の家に行く。勿論、家主不在の留守。
「でも心配だねー…あ、そうだ！遥斗お兄さんが帰ってきたらさ、驚かせようよ！」
「驚かせる？」
「ほら、いつも遥斗お兄さんにゲーム貸してもらったりしてるし、たまには私たちからもゲームを出したり」
「ゲームを出す…って言っても、遥斗さんは大体のゲームは持ってそうですよ？」
「そっちのゲームじゃなくて、クイズとかオセロとか、そういう遊びだよ！」
「成程！確かに、たまにはこっちが用意するのも良いですね！」
「いいなそれ！さっそく博士に相談してみよーぜ！」
子ども達がワイワイと盛り上がる。その様子に、少しだけ心は軽くなった。
「――そうね、たまにはこっちが驚かせてあげましょ」
今彼にしてあげられる事は、悔しいけれど私には無い。江戸川君達に任せる他無い。彼の帰りを懸命に待つしかない。
でも私達が暗いカオをしてたら、無理にでも笑わせようとする人だ。心配はしても、無理をさせるつもりは無い。
(頼んだわよ、江戸川君)
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想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。感動してもらえたのなら何よりです。これからも更新頑張らせていただきます。 (2022年11月11日 16時) (
レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ﾁｯｽﾁｯｽ - うわぁぁぁあああ！！最近見れてなくてすみません！久しぶりに見て感動しました、、、。これからも更新頑張ってくダセェ(๑･̑◡･̑๑) (2022年11月10日 10時) (レス) @page12 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ばってんさん» 再びコメントありがとうございます。次作はそう遠くない内の制作を予定していますので、続きもどうぞよろしくお願いします。 (2022年11月7日 23時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
ばってん(プロフ) - 続き楽しみにまってます！！ᕙ( ˙꒳˙ )ᕗ (2022年11月7日 21時) (レス) @page49 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
想世(プロフ) - ﾁｯｽﾁｯｽさん» 毎度コメントありがとうございます。毎回本シリーズを見つけて読んで頂き、とても嬉しいです。ご自分のペースでどうぞ泡沫編もよろしくお願いします。 (2022年10月25日 15時) (レス) id: 7931d7abb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：想世 | 作成日時：2022年10月21日 15時
