18◇分からないことだけ ページ19
少しだけ。
その姿が薄くなった様に思う。
「Aは俺以外の人と幸せになっていいんだよ」
あぁ、どうにもならない状況に、泣こうとする自分が居る。泣いたらテヒョンはまた考え直してそばにいてくれるんじゃないかって。
「テヒョンはわたしのこと何にも分かってないよ……っ」
「……うん、分かんないよ。だからずっとわかり合おうとしてた」
けど、駄目だったね。
「突き放す為に、そんなこと言うの？ もう一緒にいたくないからそんな風に言うの？」
震える声にテヒョンはもう答えなかった。
「ごめんね、俺がAの心を殺しちゃったのにね」
頬に添えられたテヒョンの手の熱はわたしには伝わらず。きっとほんとに触ろうとした訳じゃなくて、分からせようとしたんだと思う。
歪むわたしの顔と、辛そうに笑むテヒョン。
そんな顔をする癖に、裏腹な態度と言葉。
もう、わかんないよ。なにも。
「Aが俺の後を追うのを止める為に来た。
けどこんな俺といてもAは幸せになれないよ」
何よりさっきも言ったみたいにずっと此処にはいられない。
目を伏せるテヒョンは綺麗で。
「もう俺はAに触ることも出来ないし、欲しい言葉を言ってあげることもしない」
“別れよう”
テヒョンがそう言ったあの日から。
きっとテヒョンはわたしが死なない様に側にいただけ。
一緒にいたい。とか、わたし達のこれから先を考えてくれた訳じゃない。
「ほんとに……っ、ほんとにいいの……？ わたしがユンギと付き合っても、ユンギを好きになっても……っ」
わたしの言葉にまた。テヒョンはふ。と笑う。
「うん、いいよ。そうなって欲しいと思ってる」
ぶらんと。力なく腕を垂らした。
「もうAとの未来は見えない」
ほんとは、わたしが信じていなかっただけで、テヒョンが偽ったのはわたし達の誓った未来だけだった。
だからきっと、今テヒョンの言った事全部嘘じゃない。
「今度こそちゃんと」
優しい声音だった。
優しい表情で。
優しくわたしに触れたあの頃と。
その熱以外何も変わらない彼。
「さよならしよっか」
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ミサモ - いい話でした!(泣)もう感動しすぎて涙がでました(泣)こんなすんばらしい話僕は思いつきません。素晴らしい話をありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2020年1月1日 20時) (
レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
しろい(プロフ) - さっちゃんさん» さっちゃんさん〜！！お久しぶりです！ぴんぴんしてます〜(*^^*)久しぶりに文字を書いたので我ながら下手になったなと思いましたがそう言って頂けてちょっと安心です！さっちゃんさんに2019が終わる前に会えてしろいも幸せです(*´`*)全部うれしい… (2019年12月31日 9時) (レス) id: c91a121712 (このIDを非表示/違反報告)
しろい(プロフ) - あがしおんさん» ありがとうなんてとんでもないです…！こちらこそ読んで頂きコメントまで感謝しかないです。どんなに苦しくても時間がかかっても何処かで前を向けたらいいな、って思います。 (2019年12月31日 9時) (レス) id: c91a121712 (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - しろいさん！お久しぶりです(^^)お元気でしたか？？またこうやってお話を読む事が出来て幸せいっぱいです(;;)このお話初っ端から悲しすぎたんですが、最後まで胸が締め付けられる感じでした…でもやっぱりしろいさんっぽい！お話の書き方大好きです(泣) (2019年12月30日 23時) (レス) id: 77a52bcd61 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 心に染みるお話でした。この世界で巡るものすべて有限なのですから、あまりすがり過ぎてもいけませんね。素敵なお話ありがとうございました！ (2019年12月30日 20時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪
| 作成日時：2019年12月27日 12時
