17◇触れない ページ18
ユンギを置いてボサボサの髪と、部屋着のままマンションを飛び出した。今度は迷わなかった。
暫く家を出ていなかった体はずしりと重いようで。走り出してもすぐに苦しくなるし。
それでも走ったり止まったりしながら
ただ。
頭によぎるのはあの人のことだけ。
見慣れた木で囲まれた公園を視界に捉え、
そのブランコに見つけて安心するのと同時にわたしはその名前を叫んだ。
「テヒョン！！！」
その声にゆっくり、静かな笑みを浮かべてテヒョンが顔を上げる。
近くに走り寄ってその手を取る。けれどやっぱりそれはテヒョンにふれることはできなくて。
「走ってきたの？ 駄目だよ。暫く外に出てないのに」
「駄目じゃない、……っ」
「ユンギとはうまくいきそう？」
「いかない、うまくなんて行かないから、いなくなったらやだ……！」
「けどもう、一緒にはいてあげられない」
その言葉に心臓が張り裂けそうだった。
「ごめんね」
「やだ、やだ！！！」
子供のように駄々を捏ねるわたしに、宥めるような優しい声。
「俺がいなくなるとまたもっとAは悲しくなるかも知れないけどなんでも薬に頼っちゃ駄目だよ。身体だけ壊れちゃうから。眠れなかったらホットミルク飲んで」
「……っ、薬に頼っちゃ駄目なら、ずっと側にいてよ、行かないでよ」
「出来ないよ、Aも分かるでしょ？」
テヒョンはわたしに触れない。
触らないんじゃない。触れないんだ。
もう、テヒョンはこの世には、いないんだから。
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ミサモ - いい話でした!(泣)もう感動しすぎて涙がでました(泣)こんなすんばらしい話僕は思いつきません。素晴らしい話をありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2020年1月1日 20時) (
レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
しろい(プロフ) - さっちゃんさん» さっちゃんさん〜！！お久しぶりです！ぴんぴんしてます〜(*^^*)久しぶりに文字を書いたので我ながら下手になったなと思いましたがそう言って頂けてちょっと安心です！さっちゃんさんに2019が終わる前に会えてしろいも幸せです(*´`*)全部うれしい… (2019年12月31日 9時) (レス) id: c91a121712 (このIDを非表示/違反報告)
しろい(プロフ) - あがしおんさん» ありがとうなんてとんでもないです…！こちらこそ読んで頂きコメントまで感謝しかないです。どんなに苦しくても時間がかかっても何処かで前を向けたらいいな、って思います。 (2019年12月31日 9時) (レス) id: c91a121712 (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - しろいさん！お久しぶりです(^^)お元気でしたか？？またこうやってお話を読む事が出来て幸せいっぱいです(;;)このお話初っ端から悲しすぎたんですが、最後まで胸が締め付けられる感じでした…でもやっぱりしろいさんっぽい！お話の書き方大好きです(泣) (2019年12月30日 23時) (レス) id: 77a52bcd61 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 心に染みるお話でした。この世界で巡るものすべて有限なのですから、あまりすがり過ぎてもいけませんね。素敵なお話ありがとうございました！ (2019年12月30日 20時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪
| 作成日時：2019年12月27日 12時
