16◇きっと ページ17
あまりに突然のそれに思わず固まってしまう。
けれど体とは対照的にユンギの真剣な声と、表情に心臓がばくばくと音をたてる。
わたしから視線を逸らさずじっと見つめていたユンギはわたしが動かなくなって初めて少しだけ目を逸らした。
「お前が弱ってる時にこんな事言うのはずりぃって分かってる」
床についていた手にユンギが触れてびくりと体が揺れた。
「……ほんとはずっと迷ってた。あいつのことで絶対泣いてるお前に友情なんてもん振りかざして土足で上がり込んでいくべきなのか。
それどころか今までを全部ぶっ壊してこんなこと言っていいのか。けどAがどんだけ弱ぇのかは多分あいつより知ってるから」
ユンギの右手が少しだけ下を向いているわたしの、伸びて目にかかる前髪に触れる。
「漬け込んででも。側にいたいと思った。支えさせて欲しいと思った。
友達としてじゃなく、恋人として。」
前髪をいじるユンギの白い指。相変わらずユンギの手が重ねられたままのわたしの右手。
だってお前、とユンギが言葉を続ける。
「もう自分のこと好きって言ってくれる奴がいないと死にそうなんだと思ったし」
あまりに図星で。
からだにぴりぴりと弱い電気が流れたみたいだった。
ほんとは今すぐにユンギに触れて欲しいと思う自分がどこか汚い気がして。
完全に動けなくなる。
「多分お前とか俺だけじゃなくて、人って愛情ってもんをちゃんと与えられてねーと駄目になるって最近わかった」
正当に親からもらえるはずだったそれが無かったんだから。飢えてるに決まってんだよ。
ユンギの言葉は妙に腑に落ちて。
「今はあいつの代わりでもいいし。利用するだけでもいい」
その言葉に、テヒョンの顔が脳裏を過った。
…………テヒョンの、代わり……？
「……ユンギが代わりになったらテヒョンはもう要らない？」
「は……、？」
わたしの台詞に流石のユンギも訳がわからない。と言う顔をして。
「いや、いらなくはねぇと思うけど」
あぁ、駄目だ。
『後、少しだけ』
テヒョンの言葉が思い出される。
駄目だ、駄目だ、駄目だ。
このままこの人の熱に縋れば
きっとテヒョンはいなくなる。
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ミサモ - いい話でした!(泣)もう感動しすぎて涙がでました(泣)こんなすんばらしい話僕は思いつきません。素晴らしい話をありがとうございます(*⌒▽⌒*) (2020年1月1日 20時) (
レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
しろい(プロフ) - さっちゃんさん» さっちゃんさん〜！！お久しぶりです！ぴんぴんしてます〜(*^^*)久しぶりに文字を書いたので我ながら下手になったなと思いましたがそう言って頂けてちょっと安心です！さっちゃんさんに2019が終わる前に会えてしろいも幸せです(*´`*)全部うれしい… (2019年12月31日 9時) (レス) id: c91a121712 (このIDを非表示/違反報告)
しろい(プロフ) - あがしおんさん» ありがとうなんてとんでもないです…！こちらこそ読んで頂きコメントまで感謝しかないです。どんなに苦しくても時間がかかっても何処かで前を向けたらいいな、って思います。 (2019年12月31日 9時) (レス) id: c91a121712 (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん(プロフ) - しろいさん！お久しぶりです(^^)お元気でしたか？？またこうやってお話を読む事が出来て幸せいっぱいです(;;)このお話初っ端から悲しすぎたんですが、最後まで胸が締め付けられる感じでした…でもやっぱりしろいさんっぽい！お話の書き方大好きです(泣) (2019年12月30日 23時) (レス) id: 77a52bcd61 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 心に染みるお話でした。この世界で巡るものすべて有限なのですから、あまりすがり過ぎてもいけませんね。素敵なお話ありがとうございました！ (2019年12月30日 20時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪
| 作成日時：2019年12月27日 12時
