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「な、なんで？」
蕁麻疹は、出ていなかった。
「こっちが聞きたいっての」
「え？本当に？なんで？なんで？」
気が動転して、ウソツキさんの頬に手をペタペタと押し当ててみる。
「ちょっ……おい、ネコ」
「だって！」
信じられない、ウソみたいだ。
にわかに受け入れがたい気持ちに遅れて、じわじわと喜びもこみあげてくる。
嬉しくて嬉しくて、大声で叫びたくなる。
「あれじゃないの？
ネコが自分から触れたいって思ったからじゃないの？」
自分から？
「PTSD(心的外傷後ストレス障害)って人それぞれだと思うけど、ネコの場合はそういうのがネックになってたんじゃない？」
自分から触れたいって思えば平気ってこと？
夢見心地でウソツキさんの話を聞いていると、また引きよせられ、今度は頬にキスをされる。
「今までの我慢の分を取り返すくらい、さわり倒すからね」
「え……」
「どんだけ耐えたと思ってんの？」
ウソツキさんは頭にこめかみに頬にと、優しくも意地悪な表情で微笑みながら、いろんなところにキスを落とす。
「わ、ちょっ、あの……」
慣れない感覚が顔中に降ってきて、くすぐったさとはずかしさで及び腰になる。
そんな俺をしっかりと抱きしめて囲いながら、なおも続けるウソツキさん。
「これから先、もっとすごいことしていかなきゃいけないんだから、このくらい慣れて」
「……っ」
「まぁ、とりあえず手はじめに……」
俺はウソツキさんの会話のテンポについていけずに、ぎゅっと目をつぶる。
ただでさえ初めてきちんと異性に触れて、ファーストキスまでして、いっぱいいっぱいなのに。
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作者名：ぴよ | 作成日時：2020年9月29日 12時
