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「ウソツキさ……」




エレベーターのドアが開き、そのままなにも言わずに連れこまれる。

そしてピリピリとした沈黙のまま、兄ちゃんの部屋がある三階に着いた。

ためらいもせずに兄ちゃんの部屋のインターホンを鳴らすウソツキさん。

手は、俺の腕を握ったままだ。

なんでだろうか、ウソツキさんがとてつもなく不機嫌だ。

兄ちゃんはまだバイト前だしいるとは思うけど、彼はなにがしたくて、こんなところに……。

ウソツキさんの行動の目的に見当がつかずにいると、カチャリと玄関のドアが開いた。




「はい……って、えっ?涼介?……と伊野尾?なんで?」




「光、いる?」




「は?い、いるけど、なん……」




「光ー」




部屋の中へ呼びかけるウソツキさんの声に、奥の部屋からひょこっと顔が出てきた。




「なに?慧、来てるの?」




え?




「あ!え……っと、涼介くん!」




リビングから玄関へ向かってきた人の顔を兄ちゃん越しに見て、面喰う。

なぜなら、あの日ウソツキさんの家にいた“彼女”だったからだ。




「自己紹介しなくていいわけ?」




ぶっきらぼうにそう言うウソツキさんの言葉を受けて、




「言われなくてもするよ。
お兄さんとお付き合いさせてもらっている八乙女光です。よろしく、涼介くん」




と、そのお兄さんは笑顔で言った。




「え……?」




一拍遅れて理解する。

兄ちゃんの?

兄ちゃんの……彼女?




「い、一緒に住んでるの?」




俺の問いかけにバツの悪い顔をして数秒黙りこみ、その後観念したかのようにコクリとうなずく兄ちゃん。









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設定タグ:山田涼介 , 伊野尾慧 , いのやま   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ぴよ | 作成日時:2020年9月29日 12時

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