36.例えばの兄弟理論 ページ7
.
.
例えば。
.
貴方の前に、怒り狂ってる凶暴そうな男性と、その隣で泣いているか弱そうな女性がいます。
貴方は恐らくこう思うでしょう。『ああ、可哀想に。男性に何かされたんだな』
ーーー…実際には、男性は何もしていないのに。ただ、女性が勝手に隣で泣いているだけなのに。
.
兄弟理論は、まさにそれだ。
.
.
「智くんは…、奏美の肩を持つの？ただの常連客なのに？バイトって…、パン屋のレジ打ちでしょう」
智「どっちの肩を持つとか、そういうことじゃないよ、Aちゃん」
奏美「智、さんとはバイト先で少し雑談するようになって。瀬野って俺の友達にもいるよ、って言うから…名前なんですか、って聞いたら」
.
Aだって言うから。
.
奏美「お姉ちゃんのことが共通点だって分かって。そこから連絡取り合うようになって…」
智「そしたらLINEも無視されるわ、誤解されっぱなしのままだと困るから、ってLINE来て。今夜ここに誘い出して欲しい。って頼まれて」
「…それで、なんで、二宮さんが必要なの」
.
.
私が二宮さんの名前を出すと、それまでどこか虚ろ気だった二宮さんが少し肩を震わせて
焦点を私に合わせて、少し困ったように口角を上げて笑う。…いつもとは、もちろん違う曖昧な笑顔。
.
奏美「…和くんは」
「へえ。和くん、って呼んでるんだ。そうだよね、元カノだもんね」
奏美「なんで知って…」
「大体分かるわよ。女の勘って怖いわよね。嫌でも分かるもんね。分かりたくないことまで」
.
ほら。奏美は涙をぷっくりと浮かび上がらせる。
すると二宮さんは、今度は切なそうに目尻を下げて奏美の顔を覗き込む。
智くんも、少しだけハラハラしてるのが嫌でも分かる。
.
.
ああ、私は。正論を言っているはずなのに。
.
奏美「…誤解、して欲しくなくて…」
「誤解？なんの？」
奏美「…私は、もう和くんのこと吹っ切れてるって。そのことを証明したくて和くんも来てもらって…」
「なんでそんなこと証明してもらう必要があるの？(笑)」
.
「私は二宮さんが誰を好きだろうと関係ない！智くんも奏美も、私はどうでもいい！」
.
私は、怒り狂ってる男性だ。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
